2008年 11月 12日 (水) 

       

■  百瀬寿さんが個展「百色百点」 40年間をたどる作品群

     
  百瀬寿さんと作品  
 
百瀬寿さんと作品
 
  盛岡市の百瀬寿さんの個展「百(もも)色百点」が24日まで、岩手町の石神の丘美術館で開かれている。「世界中の誰もやっていなかったから」とグラデーションの追求を始めて約40年。その胎動を感じさせる60年代に始まり、油彩、版画、立体とさまざまに展開していくバリエーション。今展では今年の最新作まで100点を展示している。

 今展で最も初期の作品は、北海道教育大学時代の1965年に制作したエッチング「WORKY−’65」。大学時代は油彩を専攻していたが、エッチングにも力を入れていたという。

  67年に制作されたのが裸婦を描いた2点ずつの油彩連作「May・1967」「Dec・1967」。「May」では裸婦の体の部分に油彩ならではの筆致が残されているが、「Dec」では筆跡を残さずに平面的に表現。色彩を面でとらえた背景が後の作品へとつながっていく。

  67年に同大を卒業し、岩手大学専攻科に進学。68年に修了してから手掛けたのが木版画「WORK X−’68」「同XT−’68」(68年)。当時住んでいた盛岡市緑が丘から見た夕焼け雲が丸くなって生まれた形という。油彩「Glorious Sunset」(69年)もアパートから見た夕日がモチーフになっている。

  以後、面相筆と平筆しか使わず、油絵の具の調子を排する方向へと進むが「油彩は限界。新しい絵ができない」と感じ、新たな道を模索した。

  当時はちょうど、同世代でも具象と抽象に分かれた時代。そんな中で「グラデーションだけで絵を描くことをやっている人が世界中に見つからなかったので、自分が始めた」と言う。

     
  最新作「NE・Gold to Platinum by Green」(08年、混合技法)  
 
最新作「NE・Gold to Platinum by Green」(08年、混合技法)
 
  70年代ごろから版画が中心となり、80年代にはシルクスクリーンで色彩のグラデーションを表現。両面を見せる版画や、紙を重ねる技法でのグラデーションが生まれる。90年代には版画の数が減り、1点ものの平面作品に力点が移る。2000年からは金や銀などの箔(はく)の使用を開始。今年の最新作では7種類の箔にシルクスクリーンで着色した作品を発表している。

  立体は90年代以降に制作したものが中心。木彫や鋳造など多彩な技法に取り組みながらも、一貫してグラデーションを表現している。

  百瀬さんは1944年北海道札幌市生まれ。67年北海道教育大学旭川分校卒業。68年岩手大学専攻科修了。77年第2回世界版画展エディション買上賞。81年第25回シェル美術賞展三等賞。86年第6回現代版画コンクール展大賞、第12回日仏現代美術展大賞。96年第3回高知国際版画トリエンナーレ展大賞。ほか受賞、展覧会多数。

  午前9時から午後5時(入場は同4時半)まで。会期中は無休。料金は一般300円、高校・大学生200円、中学生以下は無料。

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