2009年 1月 3日 (土) 

       

■ 〈ブランド化する雫石牛〉2 肥育農家の悩み

     
   
 
母親に寄り添う生後間もない子牛
 
  雫石牛が地元で少しずつ評価され始めた。一方で飼養頭数は減ってきている。「俺の牛は2年後どうなるのかという不安がつきまとう。若い後継者が育たない」。新岩手農業協同組合雫石牛肥育部会の前田隆雄部会長は全国的に後継者不足が進む中、雫石にもその波が押し寄せていると感じる。

  中心となってやっている農家には高齢者が多く「息子はほかに職を持っている。親が辞めたらやれないというところもある」という。牛だけで食っていくとなると最低でも月2頭は出荷しなければならない。年間に最低でも24頭。ところが出荷までに1年半はかかる。どうしても50頭は飼わないと採算がとれない。

  50頭を飼うということは専門的にやらなければとても無理。「それでも常にもうけが出るとは限らない。そうするとどうしても勤めを辞めてまでやることは難しい」。同町でも和牛を専業でやっている農家はほとんどいない。水稲や畑、民宿、サラリーマンとたいていが兼業だ。

  前田部会長自身も10ヘクタールの水田と和牛の繁殖・肥育を両親と夫婦でやっている。父親の5頭の繁殖牛を引き継ぎ、肉にするためのホルスタインの飼養、黒毛和牛の繁殖、肥育へと転換。現在は繁殖14頭、肥育9頭。もう少し増やしたいという気持ちもあるが「夫婦2人でやっていけるか。規模拡大はできない」のが現状だ。

  経済の動きに左右される牛肉の消費。景気が悪くなるとどうしても消費量は落ちる傾向にある。特にも和牛の4、5等級は決して安価ではなく、首都圏での消費が中心になる。しかし、すべてを首都圏で消費できるわけではない。地方が消費しないと消費量は伸び悩む。豚や鶏の消費が多い中で、「いかにして牛肉に食いつかせるかこれからの課題」という。

  地元では盛岡のくのへ屋肉店が扱うようになって雫石牛が出回るようになった。スーパーで売られるようになり、一般の人の目にも触れる機会は増えた。一方で、店頭に並ぶのはロースやカルビで、どうしても価格設定は高く自然と和牛は高級というイメージがつく。

  毎日、焼き肉やステーキを食べるわけではない。「いろいろな部位が出れば料理のバリエーションも広がる。町内全体で扱ってもらえれば良さを分かってもらえる自信はある」。現在、部会では独自にステッカーを張ったり、PRポスターを作ったりしている。

  前田部会長は「いろいろな店舗、スーパーに部会としても取り扱いを依頼しなければ。地元の誰もが雫石牛と言われて分かるくらいにならないと」とさらに地元消費拡大につながる取り組みが必要と説く。

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