2009年 1月 7日 (水) 

       

■  〈都市の鼓動〜リレーコラム〉23 鷹觜紅子 女性の知恵と力で岩手の未来を

 岩手県の建設業は、今危機的状況にある。そういう状況下で、女性の知恵と力で何とかならないものかと思案し、先日、岩手県建設業女性マネジングスタッフ協議会の女性たちが、宮城県の建設業女性経営者の会に、意見交換会を申し入れた。もちろん快く承諾いただいた。意見交換会のなかでは、建設業を取り巻くさまざまな問題が取り上げられた。

     
  岩手県建設業女性マネジングスタッフ協議会、宮城県建設業女性経営者の会との意見交換会  
 
岩手県建設業女性マネジングスタッフ協議会、宮城県建設業女性経営者の会との意見交換会
 
  その中のひとつに、入札時におけるダンピングの問題があった。そういう事実があるから、経営者たちは経営不安を感じ、雇用にも踏み切れない。そして、雇用ができなければ、次世代につなぐ技術の継承もできない。そうなった時には、自分たちの会社の存続も危ぶまれるが、数十年後の社会資本整備にも影響が生じる。そうなれば、昨年の岩手県内陸南部地震のときのように、緊急時、すぐに駆けつけた建設業の人たちのボランティア活動も、もはや期待はできなくなっていると思う。ひとつの事から発生する、社会に及ぼす影響の大きさにいまさらながら驚いた。

  しかし、そのような状況で、不安材料があるからこそ開催された意見交換会であるから、皆、これらの不安を払しょくするようなヒントはないものかと、それぞれの話を、一言一句、聞き逃すまいと耳を傾けた。

  そこに集まった女性たちは、自ら会社を経営する立場にあったり、ジッと、縁の下から会社を支えてきたベテランたちである。これまでの数十年、決して平坦な道のりだけではなく、険しい時代も経験している。

  その女性たちの中から、印象に残った話を二つ程取り上げたい。一つ目は、建設業の異業種参入である。それは極めて冷静に市場を見極めた、実に意欲的で前向きの話だった。

  二つ目は、公共事業にあまり参入できなかったころ、自分たちの手でブランド技術を開発し会社の存続を守った話だった。出席者たちからも、早く新工法・新技術を認めてもらえる社会になってほしいという意見が出された。それぞれ心のうちに希望を持って帰ってきた。

  話は変わるが、先日あるフィルムメーカーが経営危機に陥ったとき、それを乗り越えた時の話をテレビで見た。最初のときは、社員全員で知恵を絞って、レンズ付フィルムを開発し、社員を一人も解雇せずにその危機を乗り越え、次のときはまた、社員全員の知恵を出し合い、それまでフィルムの製造過程で開発されたナノ技術とコラーゲンから化粧品を開発し危機を乗り越え、今は薬品会社と共同で新薬の開発をしているというものだった。

  それを見て、もちろん規模は違うがそこに流れている神髄は、前述の女性たちの会社と同じだと思った。際限のない開発が経営危機を乗り越えているのだと思う。

  そういえば冬になると気付く事がある。このごろのアスファルト舗装は、水はけがよく凍っても滑りにくい。また、夜の景色がとてもきれいになった。外灯から発せられる照明の色が変わった。普段はなかなか気付きにくいが、多くの技術の進歩が少しずつ景観も生活のしやすさも変えている。

  私たち建設業に携わるものは、日々自らの手で新しい事を考えつづけていかなければならないと思った。人々に愛されるまちは、私たちの手でつくっている。そういう思いを持ち続けていれば、必ず岩手の未来は建設業にかかわらず良い方向へと向かって行くことと思う。

(鷹觜建築設計事務所代表)

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