2009年 1月 8日 (木) 

       

■  〈お父さん絵本です〉240 岩橋淳 「知らざあ 言って聞かせやしょう」

 「声に出して読みたい日本語」でおなじみ、齋藤氏の本職は、教育学・身体論を専門とする大学教授。読書文化の重要性を説く氏によって編まれたこのシリーズは、ほかにも「寿限無」「がまの油」「吾輩は猫である」「祇園精舎(平家物語)」など、昔なつかし暗唱必須モノから市井の話芸まで、ラインアップもにぎやか。そして本作は、歌舞伎「白浪五人男」から、弁天小僧菊之助の啖呵(たんか)を「声に出して」読んでみよう、というもの。

     
   
     
  浜の真砂と五右衛門が/歌に残せし盗人の/種は尽きねえ七里ヶ浜/その白浪の夜働き…。

  読んでみて分るのは、芝居の見せ場で発せられるこの劇中歌ともいうべき科白の、徹底した七五調がなんとも心地よいということ。この芝居について少しでも知識があればそれに越したことはないのでしょうが、まず読んでみてください。わが体内に受け継がれた「日本人の遺伝子」の存在を、再確認、覚醒させるに十分な働きが感じられるはずです。

  ケレン味たっぷりのこの科白は、フラッシュ・バックする弁天小僧の半生に乗せて語られます。飯野画伯の巧みな構成と絢爛な画風は、本称を青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)といったこの舞台の華やかさを、縦横に発散させています。

 【今週の絵本】『知らざあ 言って 聞かせやしょう』河竹黙阿弥/文、飯野和好/構成・絵、齋藤孝/編、ほるぷ出版/刊、1260円(税込み)7歳〜(2004年)。


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