2009年 1月 10日 (土) 

       

■ 冬こそ沿岸の味覚 都の魚菜市場を地域の核に

 東京へ行く機会があったので、JR郊外駅の旅行パンフレットがずらりとそろうコーナーで立ち読みしてみた。さまざまなパンフの見出しを眺めていると、浮かんできたのが「冬こそ」というコピー。寒い地域では冬の観光をどう売り込むのかが永遠のテーマだが、北国の風土や地域性を逆手にとった楽しみ方の提案がますます増えそうだ。 (大谷洋樹)

 冬の情緒ある景色や祭りなど観光資源は様々あるが、老若男女だれもが楽しめる素材は食だろう。JRの「びゅう」で目についたのは福島の「うつくしま浜街道」。沿岸地域を3つに分け、それぞれ温泉や食などを組み込んだコースを用意。いわき地域で冬こその贅沢としてとりあげたのがあんこう鍋。肝をすりつぶし、白身や野菜などといっしょに煮込む定番料理だ。乾煎りした肝と身と大根を味噌と砂糖で和える「とも和え」という料理もあるそうだ。

  宮城の「伊達な日帰りの旅」は「みやぎ寿司海道」として昨年末までの首都圏からのツアーでは、塩竈、石巻の2コースを紹介。寿司店での昼食つきの簡素な商品だが、塩竈は14、石巻は21の寿司店の簡単な情報を地図とともに紹介。石巻は店主の顔写真や店のコメントまででていた。

  首都圏の駅などで見かけた北東北の冬の旅の写真に、今年の岩手は宮古の魚菜市場が採用されていた。沿岸の冬の味覚を売り込むチャンスだ。びゅうの「冬のいわて陸中海岸 魚彩王国」は冬の味覚を若干アピール、宮古の寿司店も控えめに紹介されていた。

  三陸沿岸らしい、宮古らしい食材はなんだろうか。宮古の寿司店ではどんこ(エゾイソアイナメ)のたたきを味わえるという。冬が旬の白身の上品な魚のどんこは鍋や汁物が定番だが、肝と身をたたいてつぶしたたたきは逸品らしい。たたきの刺身があるというのを耳にして魚菜市場で見つけたのを買い求め、しょうゆでいただいたことがある。ねっとりとした肝が身について、確かに味わい深い。

  あまりなじみのない食材はまだありそう。市場でみたのがあわびの肝。沿岸地域ではとしると呼ばれる。あんこうにしろ、どんこにしろ、肝というのは珍味であるのは間違いない。これらは漁師などにとって当たり前の食材なのだろう。

  みやぎの寿司海道のパンフは街中での食をきっかけに散策してもらおうという意図が感じられた。食べ物の吸引力は強い。

  魚彩王国のパンフによると、魚菜市場で買った魚をホテルの夕食に刺身などに調理してくれるサービスがあるようだ。調理人のこだわりもあるだろうに柔軟なサービスだ。市場で購入した食材を街中の飲食店で調理してくれたらなどと考えてしまう。それが無理でもおいしい料理方法をきいたり、市場できいた話を材料に、飲食店のご主人と会話が弾めばおいしさも倍増する。市場と市内の飲食店で共通の食材をアピールしてはどうだろう。料理内容・サービスは店それぞれの創意工夫でもてなす。 

  魚菜市場を舞台に1月25日競り市やお振る舞いなどのイベントが企画され、24日首都圏発の格安ツアーがある。宮古の中心街ではなんと言っても魚菜市場。一過性のイベントに終わらせず市場を地域の資源として活用したい。

  食がまち中観光のきっかけになる。魚菜市場を普段着の食体験の発信基地にして周辺の飲食店といっしょにアピールできれば大きな観光素材になりそうだ。

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