2009年 1月 13日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉61 及川彩子 魔女の靴

 ここ北イタリアの高原の町アジアゴも明けて2009年。午前0時、街のあちこちで花火が打ち上げられました。

  クリスマス以来、スキーを楽しむ観光客で、町は連日大にぎわいでしたが、そのバカンスも1月6日の「エピファニア」まで。クリスマスシーズン最期の祭日です。

     
   
     
  エピファニアは、本来「現れる」という意味です。不思議な星に導かれ、ベツレヘムへやってきた3人の星占いの博士が、贈り物を持って、生まれたばかりのイエスを訪ねたとされる日で、イエスが、初めて人々の前に姿を現したことを祝うのです。

  この日、商店街も各家でもクリスマス飾りの取り外しが行われ、町外れには、モミの木の処分場が設けられます。

  学校も冬休みの最後。子供たちの楽しみは「魔女の靴下」。魔女が森から来て、子供の枕元の靴下に、お菓子を入れる北イタリア特有の風習で、3人の博士のイエス訪問に由来するとも言われます。

  サンタと違い、悪い子には炭を入れるので、みんなドキドキ。街の通りにも、魔女にふんした人々が現れ、子供たちの成長を願い、炭を形取った砂糖菓子を配ります〔写真〕。

  「魔女の靴下」の準備は、おじいさんおばあさんの役目。わが家の娘たちも、親せき付き合いのしているパガニン家のおばさんたちから、今年も大きな靴下が届きました。中身はチョコレート菓子のほか、この地方の冬の食卓に欠かせないイチジク、アンズなどのドライフルーツ、ナツメヤシ、カチグリなどでした。

  ナツメヤシは、エジプト時代に砂糖代わりだった貴重な木の実で、ヨハネとマリアの聖家族への祝福を意味します。カチグリは、内なるものを守護する象徴です。

  黒砂糖のような強い甘さのナツメヤシ、ほのかに染み出るカチグリの甘さを、娘たちと一緒に楽しみながら、新しい年に向け、気持ちを新たにしたのです。

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