2009年 1月 15日 (木)

       

■  〈お父さん絵本です〉241 岩橋淳 ゆきがやんだあとで…

 現代ロシアの代表的画家のひとりであるミトゥーリチ氏(1925〜)が昔日、シベリアで描きためたという膨大なスケッチ。これに着想を得て、生まれた作品です。

     
   
     
  雪深い、とある村はずれ。夜半まで降り続いた雪はいつしかやみ、雪明かりに照らされた広野には、獲物を求めて高空を飛翔するフクロウですら動く物影ひとつ見つけることができない。物語は、そんな静かな開幕を迎えます。

  夜明け近くになって、雪原を活気づけるのは、巣穴を飛び出したウサギの群舞。そしてそれを狙うキツネとの間に繰り広げられる追跡劇。割って入るのは、けたたましいカササギの群れ。…すべてが、空と地平の境界も定まらない白銀の世界で進行します。しばしページを離れて目を閉じれば、無音静寂の中で起きているはずのできごとが、まるでそれぞれのキャラクターに楽器を振り分けた交響楽を聴いているかのような感覚でリプレイされていくような感覚を与えてくれます。

  これに名作「ふたりはともだち」(ローベル夫妻/作)の翻訳を手がけた三木氏による動物たちのユーモラスな声が加わることで、作品は重層的な厚みを持って、読者に迫ってくるのです。

  【今週の絵本】『ゆきがやんだあとで…』三木卓/文、M・ミトゥーリチ/絵、福音館書店/刊、1260円(税込み)7歳〜(2006年)。

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