2009年 1月 28日 (水)

       

■ 〈都市の鼓動〜リレーコラム〉26 安藤昭 都市の秩序2

     
  図1 大都市計画図(ル・コルビジェ)  
 
図1 大都市計画図(ル・コルビジェ)
 
  前回は、一見無秩序にみえる国や地域における都市の人口規模の間にはかなり明確な秩序があることについて述べた。ところで、都市を人口規模によって分類すると、ヨーロッパの多くの国のように、人口2,000人〜3,000人で都市としている場合もあるが、わが国においては次のような分類が一般的である。

   巨大都市 人口100万人以上
   大都市  人口50万人〜100万人
   中都市  人口10万人〜50万人
   小都市  人口3万人〜10万人

  以上のわが国の分類基準を念頭におきながら、ここでは、ひとまず、これまでに提案された著名な都市計画の思想を2つ紹介したい。ひとつは、フランスにおいて都市計画が一般化し、自動車交通が普及しだしたころに、フランスの都市計画者ル・コルビジェ(Le Corbusier)が提案した【人口300万人の理想都市(1922)】であり、他のひとつは、ル・コルビジェ(Le Corbusier)から約10年後に、ドイツのベルリン大学の教授であったG・フェーダー(Gottfried Feder)が提案した【人口2万人の理想都市(1932)】である。そのため、二人は、大都市論者と小都市論者と呼ばれている。

  ル・コルビジェの理想とした大都市は、彼の育ったパリとは全く異なった景観をもつ、ニューヨーク・マハッタンの高層建築群のもつ長所と短所、つまり機能的で効率的ではあるが反面において空間が少ないところをヒントに発想したもので、大都市に機能的な面と開放的な空間を積極的に取り入れたものとなっている(図1参照)。

  都心部は24棟の60階の高層建築で構成されており、この地区は3,000人/〓の高密度をもつが建ぺい率はわずか5%である。都心部の中央には地下鉄道・近郊鉄道・遠距離鉄道の各駅、地上2階には都市高速道路で、ビルの屋上にヘリポートを立体的にまとめた交通センターが設置されている。この地区の外周は板状の8階建マンション(人口密度300人/〓、建ぺい率15%)の地区で、さらにその外周の郊外部は独立住居地区にしている。公園と都心部の間には公共施設群が配置されており、工業地域や飛行場は市街地と緑地で明確に隔てられている。

  一方、G・フェーダー(Gottfried Feder)が理想とした小都市は、地域において日常生活中心、週間中心、月間中心の段階的生活圏を考えて、これに対応する都市にしかるべき都市施設を配置するならば、都市は小都市の方が機能性・効率性・環境の面において優れていると考えたものである。

  彼の提案した理想都市は有名なエベネザー・ハワード(Ebenezer Howard)(1898)の田園都市(Garden City)(人口規模32,000人)の諸原則をも再現しているという。

  さて、これまで大都市論と小都市論の主張するところを概観してきましたが、大都市論においては環境の安全性やコミュニティー形成の視点が乏しいこと等や、小都市論においてはコミュニティー空間形成上実態を反映していないのではないか等の批判はあったものの、20世紀までのわが国の都市の計画設計思想に大きな影響を及ぼしてきたのは事実である。

  しかし、21世紀以降の都市計画は、既述の20世紀までの人間中心主義の都市の認識に基づく都市計画思想を越えた新しい思想に基づく都市計画を目指す必要がある。次の第3回では、地球や、太陽等の恒星をその構成要素とする銀河系とのアナロジーから、国や地域における都市群をひとつの都市システムとして俯瞰(ふかん)的(時空間的)に認識することによって見えてくる未来都市の都市構造と秩序について考察する。
(北海商科大学教授)

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