2009年 1月 29日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉243 岩橋淳 「しあわせな ふくろう」

     
   
     
  オランダに伝わるこの民話が日本で絵本として紹介されたのは、1966年のこと。以来版を重ねていましたが、現在は品切れで、書店の店頭では入手困難となっています。

  ある古い石壁に巣を営む、つがいのフクロウ。じっと連れ添って年を刻むその仲むつまじさは、近在の農家で飼われているほかの鳥たちからは不可思議のまなざしで見られています。

  食住が満ち足り、本能の赴くまま、食っちゃ寝、あるいはけたたましいケンカに明け暮れる彼らにとって、崩れかかった石壁の窪みで穏やかに身を寄せ合っているフクロウの存在は、何かとびきりの「しあわせ」の秘訣を持っている、と映ったのでした。そして、興味津々の一統を前にフクロウ自身の口から語られた「しあわせの秘訣」とは…。

  この寓話は、それぞれに違う「しあわせ」、価値観のギャップが生む喜劇を風刺しています。物質的には豊かでも、充足できない(むしろ、それがゆえに貧しさが際立つ)心。それでいて自らの価値観を疑うことなく、不足分をモノで補おうとする愚かさ。…それは四季の移ろいに身を委ね、質朴、謙虚に生きるものとは永遠に交わることはないのです。

  そろそろ「ほんとうのしあわせ」について、皆で考える時に来ているような気もします。

  【今週の絵本】『しあわせな ふくろう』ホイテーマ/文、C・ピヤッチ/絵、おおつかゆうぞう/訳、福音館書店/刊、1365円(税込み)7歳〜(1963年)

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