2009年 1月 30日 (金)

       

■ 岩手医大ががん患者サロンを開設へ 気軽に相談しあえる場を

     
  23日に岩手医大附属病院で開かれた「がん患者サロン」の検討会  
 
23日に岩手医大附属病院で開かれた「がん患者サロン」の検討会
 
  岩手医科大学は、附属病院内にがん患者や家族が気軽に悩みを相談し合い、治療などの情報が得られる仮称がん患者(家族)サロンを4月に開設する。患者会のメンバーがボランティアとしてサロンに出向き、訪れた人の話し相手になる日を設けるほか、予約なしで薬剤師や緩和ケアチームの看護師、栄養士らが簡単な相談に対応できる態勢を整える計画だ。がんを身近な病気として語り合う環境が患者や家族の心の支えになるが、これまで、こうした場は限られていた。誰もが参加できるサロンを目指し模索が続いている。

  がん患者サロンの設置は同病院腫瘍センターの施設整備に合わせて計画された。病院3階の約28平方メートルの部屋を開放。がんについての書籍やリーフレット、パソコン、コピー機などを設置する。同病院の受診者以外でも自由に利用でき、治療に関する情報を得たり、悩みを語り合ったりできる場を目指す。

  今月23日には同病院の小林誠一郎病院長ら関係者と患者会の代表合わせて10人が集まりサロンのあり方を話し合う検討会が開かれた。

  がんを経験した人でなければ分かり合えない悩みは多く、実のあるサロン運営には患者会の協力が欠かせない。しかし、マンパワー不足で新しい取り組みを広げるのは難しい患者会が多いのも事実だ。同病院が昨年、県内11のがん患者会を対象に実施したアンケートでは「サロン設置に期待するものの、運営に定期的に協力するのは難しい」という回答が目立っていた。

  このため病院側は患者会のボランティアは要請せず、自由に使えるスペースの提供や医療相談の面で配慮する案を提示。これに対し患者会の代表からは、「気軽に立ち寄って話せる」機能の充実を求める意見が相次ぎ、患者会からも、できる範囲でサロンに人を派遣することで合意した。

  乳がん患者で組織するアイリスの会の鈴木俊子会長(60)は「がんイコール死のイメージが強く以前は外で語り合えなかった。でも今は違う。患者からも積極的に行動し、医師と一緒に良い環境を作っていくべき」と話す。

  がん患者と家族の会「かたくりの会」の千葉武会長(68)も「語り合うことによって病気に対しても前向きになれる。互いに共感し合える場になればいい。がんの体験者としてできる限り役立ちたい」とサロンの充実に期待する。

  岩手ホスピスの会の佐々木順子副代表(60)は「患者会が一からすべて立ち上げるのは難しいが、ある程度、準備された場に加わる形であれば協力できるのではないか。県のがん対策は体の治療が中心。ぜひ心の対策、精神の癒やしにも目を向けてほしい」と望む。

  病院内でのがん患者サロンの取り組みは全国にいくつか例があるが、場所だけの提供にとどまったり運営が患者会に任せきりになったりと、うまく機能しているものばかりではないという。

  同大附属病院は患者会中心の活動のほか「がんを語る会」など病院主導の行事も取り入れる方針。今後、県内の患者会に協力を依頼しボランティアがサロンに来られる日を記したカレンダーを作成するなど運営態勢の充実に努める。

  同病院腫瘍センターの池田健一郎センター長は「がんは命にかかわる身近な病気。がんになった人も、なっていない人も同じように情報を共有し助け合うことが必要。患者さんの目線で相談し合える場を病院としても提供していきたい」と意欲を燃やしていた。

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