2009年 1月 30日 (金)

       

■ 藤村秋裸さんが川柳句集「走馬灯」 宿るきらめき

     
  川柳句集「走馬灯」  
 
川柳句集「走馬灯」
 
  盛岡市の藤村秋裸さんがこのほど、川柳句集「走馬灯」を発刊した。句集としては1991年以来、3冊目。約360句が収録されている。

  句集の冒頭を飾るのは「一掬の命へ浮かす句の骸(むくろ)」「行雲も流水も見た走馬灯」の2句。「地」「水」「火」「風」「空」のテーマごとに60句ずつを掲載したほか「旅」や「喜寿」などの項目に分けて収録した。

  「父祖の地を愛して父祖の地に果てる」。先祖伝来の土地は「郷関を出ず風も友雲も友」「田に水が入れば夕陽田に沈む」と優しい。「四、五千年など一瞬の考古学」と時に大きな視点に立っても、やはり「そして徒食外車に化けた父祖の土地」となるといたたまれない。「衣食だけ足り礼節も恥も消え」は実感だ。

  そんな古里にも変化の波。「その昔ニュータウンだったゴーストタウン」「三セクのハコモノ貧乏神が棲み」「カタコトの日本語過疎地へ嫁が来る」。

  「もうただの石荒れ果てる忠魂碑」「勲章だけ寡婦に遺(のこ)って昭和閉ず」。戦争を体験した世代として、今の時代にもの申したいときもある。「挙げた手に責任が無い多数決」「出世して友達もないカメレオン」。激動の時代を経て「生き延びて世紀を跨ぐ鐘を聴く」と感慨も深い。

  「古稀近し夢を繕う針も錆び」。人生の節目を一つずつ通過しながら、振り返れば「汗だけの他子に遺す何も無し」「詠み続け書き続けする自虐の詩」と厳しい。「地球自転掴みそこねた虹ばかり」と来し方に思いをはせながらも、喜寿を迎えた今「喜寿の背も温め秋の陽が沈む」と結んだ。

  藤村さんは「跋〜つぶやくように」の中で「行雲流水に委ねた旅も、振り向けば僅か一掬の命。無数の句の骸は走馬灯の中で、果たして光ってくれるだろうか」と言葉を寄せた。

  1931年盛岡市生まれ。50年ごろから川柳を開始。「はつかり吟社」創設に参画。75年「八日町川柳教室」(後の原生林社)を開始。同年県川柳連盟発足、初代事務局長。現在、川柳原生林社所属。県川柳連盟理事、朝日新聞「いわて柳壇」選者。

  A5判、136ページ。問い合わせは藤村さん(郵便番号020−0015盛岡市本町通2の10の28)まで。

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