2009年 2月 3日 (火)

       

■ 〈芸能ばんざい〉8 飯坂真紀 山屋の田植踊(紫波町)

     
   
     
  盛岡周辺で初めて田植踊りを見た時に忘れられなかったのは、華やかな花笠をかぶり顔を隠した早乙女(しょうとめ)だった。何か、人間ではないもののように見えた。着物を着た宇宙人みたいで少し怖い。その早乙女たちが囃子(はやし)につれ、前屈(かが)みになって狂ったように頭を振る。美しいのと怖いのとで陶然となって眺めたのだった。

  田植踊りは予祝(よしゅく)儀礼の芸能である。新春に田植などの一連の農作業をまねる、いわば豊作の予行練習をすることでその年の豊作を実現させようという仕掛けだ。

  紫波町の「山屋の田植踊」(国指定)は、かつては小正月を中心に地域や近郷をまわり、裕福な家の室内で常居を舞台にして演じられていた。

  今は毎年1月小正月前後の日曜日に行われている。まず山屋の田の神の碑へお参りし、続いて集落センターで披露される。早乙女=女装した青年たちの踊りと子供たちの仲踊りによる稲作の過程を中心に、獅子舞や囃子舞など様ざまな芸能が盛り込まれている。

  一番の見せ場は「笠振り」。早乙女と仲踊りの色彩鮮やかな踊りに、観客は思わず引き込まれるのだ。昔の人々も、単調になりがちな冬の日に華やかな田植踊りを見て、おおいに楽しんだという。

  ◆山屋の田植踊の主な公演 山屋地区集落センター(1月小正月前後の日曜日)、紫波町郷土芸能祭など

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