2009年 2月 14日 (土)

       

■ 製鉄の歴史伝える 「紙本著色鍛冶神図」など県指定文化財に

     
  「紙本著色鍛冶神図」の中幅  
 
「紙本著色鍛冶神図」の中幅
 
  第2回県文化財保護審議会が13日、県庁で開かれ、製鉄や鍛冶の盛んな地域で火の神への信仰に用いられた「紙本著色たたら神図」=岩泉町個人所有=と「紙本著色鍛冶神図」=県立博物館所有=の2件を県の有形文化財に指定するよう答申した。これで県指定文化財は348件(うち有形文化財は223件)、絵画は9件の指定となる。

 県教委によると、「紙本著色たたら神図」は本紙が縦120センチ、横74センチ、軸装が縦181・5センチ、横87・2センチ。作者は不明。江戸時代前期の17世紀の作品とみられる。

  鉄資源が豊富だった本県は、製鉄や鉄工業が盛んな地域を中心に、鉄を溶解する火の神への信仰があった。大別すると製鉄が中心の「たたら神」の信仰と「鍛冶神」の信仰に区分され、「紙本著色たたら神図」は、たたら神信仰の代表的な掛け図という。

  信仰の中心の山の神・木花開耶姫(このはなのさくやひめ)と火の神・三宝荒神(さんぽうこうじん)の変身如来荒神を上半に、下半にはたたら製鉄の様子を、製鉄にかかわる多くの人たちや守護神とともに描いている。これほど豊富に関係神仏を描き、製鉄に携わる職人も詳細に描くのは全国的にもまれ。三宝荒神をその変身如来荒神として表しているのは、この掛け図が唯一。信仰資料として極めて貴重な資料と評価された。

  所有する佐々木家(岩泉町)は、たたら製鉄の現場総監督「たたら大工」を務めた家柄。掛け図は野田通戸鎖村(現久慈市)の斎藤家から伝えられた。

  「紙本著色鍛冶神図」は鍛冶神信仰の代表的な掛け図で3幅対になっている。中幅は本紙が縦104センチ、横57・4センチ、軸装が縦196・5センチ、横71・5センチ。左幅は本紙が縦68・4センチ、横29・4センチ、軸装が縦155センチ、横42・1センチ。右幅は本紙が縦68・4センチ、横29・3センチ、右幅が縦155センチ、横42・2センチ。作者は不明。17世紀の作品。

  中幅には火の神、鍛冶の神として全国的に信仰されている三宝荒神と刀を打つ刀匠が中心に描かれている。神仏や鬼神、刀工、人物などを豊富に配置し、華やかに描いたものは全国的にも珍しく脇軸まで備えて三幅対としている例はないという。

  阿弥陀三尊、不動明王、毘沙門天、風神・雷神、稲荷神、大黒天、飛天といった多くの神仏が描かれていて、鍛冶神信仰の内容を探る上で極めて貴重。特に山陰地方の白狐に乗る女神像・金屋子神(かなやごじん=製鉄・鍛冶の神)と、この掛け図の稲荷神との関連は注目されるという。

  代々、刀鍛冶の家柄の及川家(藤沢町)に伝わったもので86年、県所有となった。

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