2009年 2月 16日 (月)

       

■ 〈畜産岩手のチカラ第2部〉雫石町の南部かしわ 放し飼いで増す肉質

     
  放し飼いでのびのびと育つ南部かしわ  
 
放し飼いでのびのびと育つ南部かしわ
 
  盛岡地域には前沢牛や松阪牛、比内鶏、名古屋コーチンといった全国に知れ渡ったブランド肉はまだない。しかし、地元でじわりと評判を呼び、県外にその品質を評価されているトップブランド候補生が育成中だ。ブランドといっても全国で広範囲に流通される道もあれば、稀少さゆえに流通範囲を限り、生産地近くに足を運んでもらい味わってもらう道もある。岩手に限らず、全国でブランド戦略を進める今日、一足飛びにトップブランドとなることは困難。まずは生産地で認められ、愛されることが重要だろう。普通にやっていてはブランドは築けない。生産者のこだわりやオリジナルの発想、地道な取り組みの先に輝く結晶が現れる。ブランド肉に取り組む生産現場を訪ねた。(全5回)

  南部かしわは85年に県農業研究センター畜産研究所が開発したシャモにホワイトロックとロードアイランドレッドの交雑種を交配した三元交雑種の地鶏。雫石町の岩手しずくいし南部かしわ生産組合(荒屋一男組合長、組合員8人)は、餌と飼育方法にこだわり年間約4800羽の南部かしわを出荷する。

  一般的なブロイラーが45日〜50日で出荷するのに対して、南部かしわの飼育期間は約150日と長い。「昔はどこでも農家では家の前に鶏を放し飼いにしていた」。南部かしわはまさにその状態に近い形の飼育にこだわる。ケージに入れられた状態ではなく、鶏舎内で放し飼いされ、のびのびと育てられている。

  シャモを親に持ち、鶏舎を常に動き回っているため肉質は非常にかみ応えがある。組合では専門店も経営し、親子丼やラーメンなど自慢の味を味わってもらっている。荒屋組合長も「昔懐かしいかしわの味がする」と味に太鼓判を押す。

  同組合では町産の小麦や豆を煮て発酵させたものに、飼料米などを配合した自家配合飼料にこだわる。安全でおいしいものを消費者に届けるために、添加物は一切使用しない。においを抑えるために鶏舎に敷かれた木材チップは、冬場には発酵して暖かい環境を作り出す。放された鶏は、自由に鶏舎内を歩き回り、好きな時間に餌を食べて大きく成長する。

  鶏は寒さには強いが、暑さに弱いため、飼育するのは夏場でも比較的涼しい周囲を林に囲まれた場所。車の騒音などで鶏にストレスをかけないよう幹線道路からも離れ、静かな環境だ。約600羽を飼養している荒屋組合長の鶏舎は、成長に応じて仕切られ、ある程度まで大きくなると自由に外に出て動けるようになっている。

  ひなの導入と生産、飼養管理の研究を行う生産部門、食鶏処理加工、加工所の衛生管理を行う加工部門、精肉販売、加工品の開発販売を行う流通部門、南部かしわ専門店の経営、仕出し営業を行う企業化部門と4部門で構成。あくまでも自分たちができる範囲で行っている。荒屋組合長は「評判は良くなってきた。失敗しないように組合を拡大せずに、現状の味を保っていきたい」と話す。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします