2009年 2月 25日 (水)

       

■ 〈都市の鼓動〜リレーコラム〉30 佐々木栄洋 姉妹都市とまちづくり

 財団法人自治体国際化協会によると2009年1月31日現在、全国で844の自治体が、海外の1,575の自治体と姉妹自治体(友好自治体、以下姉妹都市と省略)を提携している。

  表に示すようにアメリカ合衆国が最も多く436自治体、次いで中国の331自治体、大韓民国の122自治体となっているが、これ以降に、オーストラリア、カナダ、ブラジル、ドイツ、フランス、ニュージーランド、ロシア連邦が続く。

  わが国を取り巻く状況を考えれば、アメリカ合衆国、中国、大韓民国と結びつきが強いことは理解できるが、後に続く国々をみると姉妹都市に至る経緯や交流内容が自治体ごとに異なっており大変興味深い。

  一方、岩手県の状況をみると、岩手県自体はどの自治体とも提携しておらず、市町村は17市町村が27自治体と提携している。(これは、ほかの都道府県と比較しても多いとは言えず、東北6県中5番目となっている)

  さらに相手の都市は、アメリカ合衆国が9、オーストリアが4、中国、オーストラリアが3となっており、ほかと比べてオーストリアの割合が高いのが特徴である。

  そもそも、姉妹都市は、法律上定められているものではなく、文化交流や親善を目的として両首長による提携書が締結され成立するものとされている。

  わが国の最初の姉妹都市提携は、1955年(昭和30年)12月に長崎市とアメリカ合衆国セントポール市の間で交わされた締結である。

  姉妹都市は、自治体が行う国際交流を推進する典型的な手法の一つとして重要な国際交流施策とされており、相互理解や国際親善の推進、地域の振興・活性化、さらには国際社会の平和と繁栄への貢献に寄与するものと考えられている。

  しかし、現状はどうであろうか。人的交流や文化交流は、長年、行われてきたが、儀礼的な友好親善にとどまり、技術交流、経済交流を目論んでいるものの、実りある成果を得ることができない自治体が多い。シンクタンクのレポートにまとめられるように、技術交流、経済交流が本格化した場合の波及効果はとても大きいが、自治体主導の技術交流、経済交流は難しい点があることも否めない。

  そこで今一度、考えてみたいのが、「姉妹都市におけるまちづくり実務者交流」である。新しいことではないが、これまでに見られた「代表者の訪問団、視察団」ではなく、まちづくりにかかわる諸問題を解決することを目的に、政策立案者や技術者などが、ハード面、ソフト面の実務レベルの交流を行い、NPO等の民間組織が、参画方法、活動内容などについて、積極的に交流を行うのである。海外の事例を適用するのではなく、自分たちが置かれている状況とは異なる社会制度や官民のあり方などに触れることにより、行政のあり方を再考する契機となり、新たな発見や柔軟な発想が生まれる。

  お互いに知恵を出し合い、ノウハウを共有し、継続的な連携を試みるのである。情報ネットワークが発達した今日だからこそ、姉妹都市と連携を深めた共同によるまちづくりを展開することができる。

  わが国の歴史を顧みてもわかるように、海外のまちづくりから学ぶことは多い。姉妹都市を提携していなくても実践している自治体はあるが、姉妹都市だからこそ可能になることがある。都市と都市をつなぐ姉妹都市は、それぞれの都市に住む人々の心をつなぐ、大変意義のあるものである。

  (工学博士)

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