2009年 2月 26日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉247 岩橋淳 くまのコールテンくん

     
   
     
  「この箪笥(たんす)はいい箪笥ですよ、なにしろウチの店に16年もあるンですから」とは落語「火焔太鼓」の一節。本作の主人公、ぬいぐるみのコールテンくんも、デパートのおもちゃ売場で古株のひとり。ひがな、まだ見ぬパートナーのお迎えを待ち続けておりました。

  今ならライセンス商品の大量生産のところ、当時は手作りの一点もの、言い換えれば魂の宿った存在であるコールテンくん。その反面、衣装であるつりズボンのボタンが取れてしまうと、高度成長下、豊かさの象徴でもあったデパートでのこと、直すもままならず、それどころか気付かれることもなく、そのまま棚にたたずんでいたのです。

  そんなコールテンくんが目に留めた、ひとりの女の子(黒人である彼女は、当時としてはかなり裕福な境遇であったに違いありません)。ところがせっかくの出合いも、お母さんの一言でついえてしまいました。がっかりのコールテンくんですが、気を取り直して、なくしたボタンを捜すべく深夜のデパート探検に乗り出して…。

  手作り、人情と物質文明、見かけの豊かさとの交叉。それぞれが危うくも適度なバランスを保てていたころの、現代からちょっと外れたメルヘン。さて、現代っ子にどう伝えるか。

  【今週の絵本】『くまのコールテンくん』D・フリーマン/作、まつおかきょうこ/訳、偕成社/刊、1260円(税込み)7歳〜(1968年)

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