2009年 5月 12日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉232 八木淳一郎 ガリレオの贈り物その9

 ガリレオは1612年に「太陽黒点に関する書簡」を著し、この中で太陽の黒点についての観測結果とそれに基づくさまざまな知見を述べています。

  スケッチも極めて正確に取っていて、黒点が群れを成して出現することや、時間経過とともに数やパターンが変化すること、そして日ごとに位置を変えていくことから太陽が約30日で自転していることなどをつきとめたのでした。

  これらの観測と考案は今日の天文学にも通用する優れたものばかりです。ガリレオはこうした太陽の観測を直接、望遠鏡のレンズに目を当てて行ったために目を悪くし、晩年、失明してしまうことになります。

  ところでこの書簡では、太陽黒点を最初に発見したのが誰であるかにも言及しています。後にローマ・カトリック教会の枢機卿となるシャイナーという人と、自分こそが第一発見者であるとして論争が行われました。

  ほかにも一番を名乗る人物はいたのですが例えガリレオが一番手でなかったとしても、観測内容の精密さや深さにおいて誰ひとりとしてガリレオの足元に及びませんでした。

  しかしこうして争ったシャイナーが後年教会の重要な地位につくことが、かの宗教裁判にも暗い影を落とすことになったと言われています。

  ところで、核融合反応で燃え盛る太陽の光と熱は、私たち人間は言うまでもなく、地球上のすべての生命にとってもっとも大切なものです。

  その太陽の活動の消長は黒点数の増減にあらわれると考えられています。

  これまでの長い間の観測によれば、黒点の数は見事に11年周期で増えたり減ったりしています。しかし、かつて地球が小氷河期になったときの記録を調べてみると、いずれも黒点が現れない年月がしばらく続いた時期に一致しているらしいのです。

  実はこれまでのサイクルからは、昨年が黒点数のもっとも少ない年になっているはずでした。そして今年はもう黒点が増え始めていなくてはならないのですが、どうしたことか、今なお、黒点をほとんど目にすることができず、太陽は静まりかえっています。

  自然の営みは、人間に都合よくできていることばかりではないとわかっていても、このさき太陽が再びいつもの活発な活動をいつ見せてくれるのか少し気掛かりな状況です。

  今日もまた青空の中に、何も変わっているとは思えないまぶしい太陽の輝きを目にします。ほんのわずかな変化が私たちの運命を左右する−こんなとき、地球上の生き物は運命共同体なのだということを考えずにはいられません。

(盛岡天文同好会会員)

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