2009年 5月 14日 (木)

       

■ 〈北Gのライブトーク〉87 北島貞紀 納棺士とチェロ奏者

 遅ればせながら、映画「おくりびと」をDVDで観た。納棺士という職業が独立して成り立っているのかどうかは疑問であるが、どちらかというと暗いイメージのある職業が、尊厳とさわやかさをもって貫かれたのは、主役の背景設定の上手さだと思う。

  本木君ふんする主役は、あるオーケストラのチェロ奏者。ところがこの不景気の折、楽団はあえなく解散。買ったばかりの楽器の支払いにも苦慮し、広末涼子ふんする奥さん(デザイナー)と今後を相談し、郷里の山形に帰ることになる。

  このチェロ奏者であることが、ポイントなんだなぁ。企業戦士でもなく、契約切れの派遣社員でもない。どことなく文化度が高くて、あの美人の広末さんが奥さんだというのも納得してしまうし音楽をやめて彼についてゆくことにも無理がない。

  そして、フルートでもなくバイオリンやピアノでもなく、チェロである。この楽器は、重低音を受け持ち、ソロ楽器の特性も併せ持つ。イメージとすれば、重厚であり温厚、篤実という感じであるが、それが山形という風土、納棺士という職業にぴたりと合致する。

  本木君が川の土手でチェロを弾くシーンがあるが、自然の色や風や香りが楽器と一体となり、やがて音楽もその風景の一部となってゆくような感じがした。

  この映画を通じて、納棺士への意識が高まったらしいが、チェロの方はどうなのかなぁ。

  映画の中で本木君が買ったチェロは、中古なのに1800万円だった。そんなにするものなのかとネットで調べてみると、この楽器の値段、数万円から数億円までとある。そういえば、ヨー・ヨー・マがタクシーに置き忘れたのが2億円とか言って話題になったことがあった。

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