2009年 5月 21日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉259 岩橋淳 「おじさんのかさ」

     
   
     

 新しい傘や長靴を買ってもらったこどもは、とかく雨でもないのに差したり、履いたりしたがるもので、これはそれなりに微笑ましいもの。では、もしもそれが「おじさん」だったら?

  山高帽にフロックコート、カイゼル髭をたくわえたこのおじさん、手にした傘も、立派なもの。紳士のたしなみとて、これをいつも持ち歩いております。…ところが、さきのこどもの例と違うのは、おじさん、「傘を絶対に使わない」のです。せっかく折り目をぴったりとそろえて畳んだ傘を開いて、濡らすのが、ガマンならない。だから、ひとたび雨が降り始めると、傘を抱えて、雨宿り。あまつさえ、本降りになれば、たとえ見ず知らずであっても、行き合った人の傘に入れてもらっての移動と相なります。

  ある日おじさんは、公園で雨に遭います。いつものように大切な傘を抱え込んだおじさん、そこで出合ったこどもたちが口ずさんだ、不思議な雨音の歌を耳にして…?

  晴れには晴れの、雨には雨の楽しさが。ミュージカル「雨に唄えば」を彷彿させる場面(踊りだす訳ではありませんが)も挿入され、なんだか雨が待ち遠しくなる一冊です。

  【今週の絵本】『おじさんの かさ』佐野洋子/作・絵、講談社/刊、1470円(税込み)(1992年)


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