2009年 5月 23日 (土)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉18 望月善次 六月のこの草原の

 六月のこの草原の草々はギヤマン色
  す、笑ひたくなる
 
  〔現代語訳〕六月のこの草原の草々はガラス色をしていて、(満足のために、私は)思わず笑いたくなるのです。

  〔評釈〕「六月草原篇」十首〔『アザリア会雑誌』第一号(盛岡高等農林アザリア会、大正六年七月一日)〕の冒頭歌。「ギヤマン」はオランダ語のdiamantに由来する語。もともとは、ガラスを切る際に用いるダイアモンドの意味だという。結句「笑ひたくなる」が、話者のどうした感情を表しているかを、この作品のみで断定するのは困難だが、一応肯定的な感情だとして、「笑いがこみ上げてくる」ような感情を想定して、「思わず笑いたくなる」の現代語訳を添えておいた。ところで、この連休は、調査のために嘉内の母校である山梨県立甲府第一高校〔嘉内の卒業した甲府中学の後身〕や保阪家にお邪魔した。保阪善三氏や庸夫氏から貴重な資料を拝見させていただき、またお話を聞かせていただくことができた。今回は、嘉内には自身の歌日記等のノートに残された膨大な短歌があり、『アザリア』掲載作品についても、そうした作品群から、選択して発表していることのみを記しておきたいと思う。

  (盛岡大学長)

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