2009年 6月 2日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉233 八木淳一郎 ガリレオの贈り物(その10)

 星の世界の一番といっていいほどの人気者−それは土星でしょう。一人の例外もないといっていいくらい、望遠鏡で土星をのぞいた瞬間に「おお!」とか、「わあ!」という歓声をあげます。輪があるから「ワア!」というだじゃれなどではなくて…。

  この土星の神秘的ともチャーミングとも形容できる姿を見ているわずかな時間だけでも、きっと多くの人の心はちまたの喧騒(けんそう)の世界から解き放たれているに違いない、といつも思います。漆黒の空間に、いかにもぽっかりと浮かんでいる光景は見る人の心にさまざまな思いを呼び覚ますような気がするのです。

  今から400年前、人類として初めて土星に望遠鏡を向けたガリレオはレンズの性能に欠陥があったのかどうか、土星の輪が輪として見えず、コブが二つくっついている、というように見たのでした。土星の輪を確認したのはガリレオから45年も後、オランダのホイヘンスという人が最初でした。

  現代の望遠鏡は当時と比較して格段に性能がよくなっていて、たとえガリレオの望遠鏡よりも小さなものであっても土星の輪の存在を確かめることができます。言い換えれば、当時のそんなにも性能の悪いレンズを用いて、土星のコブはともかく、さまざまな発見や観測成果を成し遂げたガリレオの情熱、探究心、観察力などなど、なんとすばらしいことか!人類の宇宙観をガリレオは一人で塗り替えてしまったのですから。

  ところで、今年の土星は輪を真横から見る格好になっていてちょうど串だんごの形になっています。時期によっては輪があまりにも薄いものであるために見えなくなることがあります。このような現象は15年に1回の割合で起こります。それでも土星の魅力は失せるものではありません。これからも8月半ばまでのもう少しの間、西の空のしし座の一角に1等星よりわずかに明るく光っています。この機会にぜひ一度ご自分の目で確かめてみてください。ガリレオも喜んでくれるに違いありません。

(盛岡天文同好会会員)

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