2009年 6月 8日 (月)

       

■ 〈盛岡市内の秘境駅探訪〉中 和井内和夫 浅岸駅

     
  斜面にへばりつくようにして線路と駅舎が立つ浅岸駅  
 
斜面にへばりつくようにして線路と駅舎が立つ浅岸駅
 
  盛岡の中心部から車で浅岸駅に行くのには、国道106号の旧簗川村飛鳥に回りそこから北上するルートが一番楽だとは、浅岸駅付近で仕事をしていた人の話である。

  その次に走りやすいのは、盛岡市内東部浅岸地区の水道橋から綱取ダム・大葛・銭掛集落を経て中津川沿いに登って行く市道天神町〜銭掛3号線と、それに接続する御大堂林道を経由するルートだそうである。

  今回たどったコースは、道路状態が最も悪い大志田駅方面から山越えルートである。

  大志田駅から浅岸駅までの行程は約14キロ。大志田駅から県道204号線(外山〜大志田停車線)・米内川櫃取林道・岩神2号林道・御大堂林道・岩神林道を経由する。

  大志田駅口から東約3キロの部分は県道204号線、その先は米内川櫃取林道に分かれる。浅岸方面にはそれから先で右折して橋を渡り岩神2号林道に入る。

     
  浅岸駅舎内に掲示されている時刻表  
 
浅岸駅舎内に掲示されている時刻表
 
  この区間は大きく北に迂回するため、道路距離はトンネルで直行するJRの2倍近くある。またこの区間で米内川と中津川の分水嶺を越える。

  岩神2号林道を南に下ると、前記の盛岡市内東部浅岸地区の水道橋から、綱取ダム・大葛・銭掛集落を経て中津川沿いに登ってきた市道天神町〜銭掛3号線の東端矢倉から、それを起点として東に延びてきた御大堂林道とのT字路にぶつかり、そこから左に曲がって南に向かい、御大堂林道そして岩神林道を経て浅岸駅となる。

  道路の状況であるが、前半の県道204号線は無舗装であり、米内川櫃取林道と岩神2号林道は舗装されているが、上米内〜大志田間と比較すると悪い。特に米内川と中津川の分水嶺近くの山腹を削って作った部分では見通しの悪い急カーブが多く、結構対向車があるので運転は要注意である。

  ただし、無舗装の部分も北上山系特有の固い路盤の上、補修されているようで大きな穴ポコはない。今回使用した車は中型の普通乗用車であるが底を擦ることはなかった。また待避所の条件は前一とほぼ同じである。

  途中何か所かで道路整備工事が行われていた。その関係であろう大型車も通っていた。大志田をスタートしてから約3キロのところの米内川櫃取林道の分岐点(県道204号は左折する)は要注意である。

  浅岸駅は山田線開通当初、大志田駅と同様スイッチバックのために設置した駅と思われる。大志田駅と同様昭和57年11月15日ダイヤ改正時に無人化された。

  浅岸集落は地形的には大志田地区より平地が多く山もなだらかな感じである。集落としての歴史は大志田より新しく、山田線建設工事が始まった大正末期ごろ、中津川下流の銭掛集落の人がこの地域に炭焼きに入ったと伝えられている。

  戦後の最盛期は林業が盛んだった昭和30年代で、戸数は60戸に近く人口も250人を超したそうである。

  そのためであろう、昭和32年に浅岸駅前に中津川小学校が開校している。しかし昭和46年に閉校しているので、多分そのころには炭焼きを含め林業が衰退し生徒数が激減したのであろう。

  現在は駅から約2キロほど南に3戸の民家があるだけである。ただし、この地区の本当の最盛期は昭和初期で、当時この地域に大集落が出現した。それは山田線建設工事のためで、工事事務所、職員用宿舎、作業員宿舎、警察官駐在所、診療所、分教場などのほか火葬場まであったそうである。また陸軍の鉄道建設隊2中隊も駐屯していたそうであるので、山中に町ができたと伝わっているのもうなずける。

  古老の話では、その大集落があった地名は浅岸口と聞いていたそうである。駅名のところでも触れたが、この地区から見て中津川下流の銭掛とその下の大葛地区は旧浅岸村であるので、浅岸口とは前記の岩神二号林道と御大堂林道との合流点付近から浅岸駅周辺を指しているのではないかと思われる。

  JR大志田〜区界間はトンネルが多く、とくに浅岸駅のすぐ南には山田線最長の第一飛鳥トンネルがあるが、このトンネルは特に難工事だったそうである。

  ちなみに上米内〜区界間の鉄道距離は約25キロしかないが、完工まで5年を要している。

  浅岸駅から国道106号線までの行程は全区間岩神林道であり全長約16キロである。

  基本的にはこれまでと同じ一車線である。この区間で中津川と簗川との分水嶺を越えるので、一部は高低屈折が多く運転には注意する必要がある。ただし、道路周辺の見通しが比較的いい。

  ちなみに今回の全行程を通じての平均走行速度は時速35キロぐらいだった。
(和井内和夫)

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