2009年 6月 25日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉254 岩橋淳 鳥の巣ものがたり

     
   
     
  作者は、数多くの絵本を手がけたイラストレーターですが、もうひとつの貌(かお)を持っています。それは、鳥の巣の研究家。その種類によって千差万別のバリエーションがある鳥の巣の魅力に取りつかれ、画に描くだけでは収まらず、ついには使用済みの巣を実際に収集してしまうという、執念の人なのです。…以前、その模様を取材したテレビ番組をみたことがありますが、それはもう大変な熱意と根気、これは好きなればこそ。

  本作では、数々の鳥たちとその巣(巧緻を極めた職人仕事、中には芸術と言っていいくらいのものも多数)が紹介されます。一見オーソドックスな樹上の巣にも、その素材に秘密が。奇妙な形や思いがけない場所にも、ちゃんと理由が。そのほか、色遣い、温度や衛生管理などなど、巣には、すべてに鳥たちの生態による「事情」が反映されているのです。

  そのどれもが、大切な卵やヒナを守り、育てることを目的としていることは論をまちません。誰に教わるでもなく、自然界のプログラミングに従って、親は子を守り、育てるために、驚くべき能力を発揮できるもののようです。そしていつか子は巣立ち、役目を果たした巣は、土に還ってゆく。…小さなものたちから、まだ、学ぶことはありそうです。

 【今週の絵本】『鳥の巣ものがたり』鈴木まもる/文・絵、偕成社/刊、1470円(税込み)(2007年)



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