2009年 6月 25日 (木)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉30 望月善次 大空はあんまり

 大空はあんまり晴れて銀の縞、地上に
  しけり、草はみな黙る、
 
  〔現代語訳〕大空はあまりにも晴れ渡って、(太陽の光による)銀の縞を地上に敷いています。(この輝くばかりの光の前に)草はみな沈黙しているのです。

  〔評釈〕「大空がまったく晴れておそろしや」三十二首〔『アザリア』第二輯(盛岡高等農林学校アザリア会、大正六年七月十八日)〕の三首目。本来は、一首目の際に記しておくべきことだったが、奥書において創刊号は「第一号」であり、この号においては「第二輯」と「号」と「輯」と異なり、発行所も、創刊号においては、「盛岡高等農林アザリア会」であったものが、「盛岡高等農林学校アザリア会」と「学校」が加わっていることに触れておこう。晴れ渡った空には、それが昼間であれば、当然何物にも遮られない輝く太陽があるわけであるが、その太陽の光によって、地上には、「銀の縞」ができ、草もその光に圧倒されるように沈黙しているのだという話者の感慨を作品としたもの。具体的表現としては、一言も触れられていない太陽の光が示唆されているところが面白い。なお、結句「草はみな黙る」のような、話者の視線の変換は、賢治短歌もまた、しばしば用いるものである。
(盛岡大学長)

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