2009年 6月 27日 (土)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉31 望月善次 大空はわれを

 大空はわれを見つめる、これはまた、
  おそろしいかなその青い眼が、
 
  〔現代語訳〕大空は私を見つめています。ああ、その青い眼が怖ろしいくらいです。

  〔評釈〕「大空がまったく晴れておそろしや」三十二首〔『アザリア』第二輯(盛岡高等農林学校アザリア会、大正六年七月十八日)〕の四首目。晴れ渡った大空を「青い眼」だとし、あまりにも晴れたその「眼」を怖ろしいほどだとした一首。「大空はわれを見つめる」は、比喩(ひゆ)的に言えば、「結合比喩」でいわゆる「擬人的用法」。これも「結合比喩」の「擬人的用法」である「大空」を「青い眼」とする喩(たと)えは、ある面では、飛躍した物言いとなるのだが、それを「これはまた」と少し砕けた表現でバランスをとっているところが抽出歌のトーン。もちろん、こうした少し斜に構えた表現によらずに、正面から押し切るというやり方もあるのだが、こうしたところにも作者の特徴が顔を覗(のぞ)かせる。また、こうした展開は、視野の拡大にも通じることになるから、連作などには一つの力を与えることにもなる。ここでは、「大空」を重ねて用いている訳だから、そうした配慮も欠かせないものの一つだとも言えよう。
  (盛岡大学長)

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