2009年 6月 29日 (月)

       

■ 〈清華大学集中講義報告〉1 望月善次 講義に至る道

     
  清華大学集中講義主宰者開会あいさつの王中忱清華大学教授  
 
清華大学集中講義主宰者開会
あいさつの王中忱清華大学教授
 
  中国・清華大学の王中忱先生(同人文学院中文系教授)の御高配によって、6月17日(水)〜19日(金)の3日間、集中講義を行う機会を与えられた。

  「清華大学アジア文化講座 第1期講座」の一環としてであった。

  今回を含めて4回の報告を行いたいが、第1回の今回は講義に至る経緯を、清華大学や王中忱先生に触れながら述べたいと思う。

  改めて述べるまでもなく、清華大学は中国第一の大学である。(例えば中国管理科学研究院「中国大学評価」課題チームによる「2009中国大学評価」においても、清華大学は280・15ポイントで、首位を守っていることを伝えている。ちなみに2位は224・66ポイントの北京大学である)

  1911年に開学し、理系を中心とした充実ぶりはつとに知られているが、近年は文系の充実も素晴らしく、最近では芸術系までを加えている。

  講義の予備日としていた20日(土)には、王先生のお薦めもあり、その美術院(日本的に言えば、芸術学研究科に相当するのだろうか)の大学院展覧会を見る機会にも恵まれた。理系の蓄積が豊富な大学らしく、通常の彫刻、絵画に加えて、建築、コンピューター、自動車、衣服のデザイン等、工学的関連のものも少なくなかったのが印象的であった。

     
  司会・進行の劉暁峰清華大学準教授  
 
司会・進行の劉暁峰
清華大学準教授
 
  清華大学の充実ぶりは、もちろん、基本的には、その学的内容によるものであるが、キャンパスの美しさでも知られている。北京の旧跡(清朝の離宮である)円明園の一角をも生かして作られたキャンパスは、それだけでも印象的で、その芝生の中の木々を昇り降りするリスの姿に時間を忘れることもある。

  しかも、今回は、訪れたのが北京では珍しい雨の直後であったから、キャンパスの緑は一層目に染みるようで、さながら「客舎青青柳色新(客舎ハ青青トシテ、柳色新タナリ)」〔王維「送元二使安西(元二ノ安西ニ使スルヲ送ル)」〕の世界であった。

  ところで、王先生との御縁の始まりは、前任校の岩手大学教育学部におけることであった。王先生が、教育学部のお隣の人文社会科学部に客員研究員で来ておられたことがあり、そのことを契機として種々御指導いただいたが、就中、私が教育学部長を勤めていた時代にはお世話になった。

  先生の御高配により岩手大学教育学部は、清華大学中文系と交流協定の締結ができ、この締結は、清華大学と岩手大学との大学間交流にも発展することになった。また、客員研究員として来ていただいたり、さらには、外部評価の際には、外国在住評価者として来日していただき、的確な評価もしていただいた。

  こうしたことを通して、私は、先生の学問的、大学管理的な力量はもちろんであるが、そのお人柄にすっかり魅了された。ついには、私の岩手大学退任記念出版物である『国語科教育学の希望』(明治図書出版、2009発行予定)に先生に御執筆をお願いするまでのわがままをさせていただいた。

  なお、こうした先生との御縁に恵まれたのは、もとはと言えば、藪敏裕教授(岩手大学)が、中国との縁を拓いてくれたからである。中国の諺(ことわざ)にならえば、「井戸を掘った人」は、藪教授であったわけであり、そのことを特に記して感謝したい。

  さて、会場は清華大学であったが、王先生たちのグループは、近年の中日学術交流の重要な側面を担っているグループなので、幹事校・会場校である清華大学のみではなく、北京の主要大学〔北京大学、北京人民大学、北京外国語大学、首都師範大学〕、北京社会科学院等の教員、学生(大学院生)の多様な顔ぶれが集まってくれた。

  幹事役の柳暁峰先生(清華大学、歴史系准教授)の御尽力によるものでもある。〔筆者の岩手大学退任記念講演会にも出席してくださった董炳月先生(中国社会科学院文学研究所)もこのグループの主要メンバーの一人で、その再会もうれしいことの一つであった〕

  参加者は、各回40〜50人。王先生の御配慮で、藤村裕一郎君(清華大学中文系修士課程研究生、岩手大学教育学部卒業生)、崔gさん(清華大学中文系修士課程修了、岩手大学教育学研究科交換留学生)の2人から、北京空港への出迎え、見送りも含めての北京滞在中の細部にわたるまでの面倒をみてもらえたりして、心行くまでの講義が許された3日間であった。

  次回からは、その内容について記すことにしたい。
(盛岡大学学長)

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