2009年 6月 30日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉73 及川彩子 ボルティコのある町

     
   
     
  北イタリアの南部に位置するエミリア・ロマーニャ州は、ポー河の肥沃(ひよく)な大地にはぐくまれた穀倉地帯。その州都が、ミートソースの発祥地ボローニャです。

  この6月、国際音楽祭があったのでボローニャを訪れました。アジアゴの我が家から車で3時間半。人体解剖教室で知られるヨーロッパ最古のボローニャ大学があり、さまざまな国際会議や文化行事が頻繁に開かれています。

  ボローニャ訪問の楽しみは、イタリア随一と言われる手作りパスタと「パッセッジャータ」。パッセッジャータは散歩の意味で、食後に家族や友人同士でブラブラ街に出て、既に閉店しているショーウインドウを眺め、喫茶店(バール)に立ち寄り、ゆったりとした時を楽しむのがイタリアの習慣です。

  そのパッセッジャータに一番適した街と言われるのがボローニャ。「ポルティコ」と呼ばれるレンガ造りのアーケードが、通りに延々と続きます。雨や日差しを防ぐための柱廊〔写真〕で、中世の建造ですが、見事に保存されているのです。

  モダンに改造された商店が、不思議にマッチするポルティコを歩いていると、成熟した街の匂いがします。

  街造りの模範のようなボローニャですが、高度成長の折、郊外にニュータウンや工業団地、商店街が広がっていく時期がありました。それを70年代に方向転換、都市拡大を抑え、古い都心を保存・再生し、ポルティコ維持の「革命」を起こしたのです。

  そしてニュータウン造りの資金を、老朽化した都心の庶民住宅の修復資金に当て、歴史的地域に人口を集め、質の高い発展を目指したのです。その時のスローガンは「保存は革命」。これが、今のイタリアの都市造りの基本になりました。

  「食べ歩き・街歩き」は、日本でも大流行と聞きましたが、本当の味わいは「保存は革命」から生まれるのかも知れません。


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