2009年 6月 30日 (火)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉32 望月善次 大空はこれはまっさを

 大空はこれはまっさを、今更に、庭に
  しきつめし小石が白し、
 
  〔現代語訳〕大空は、これはこれは、真っ青。(目を転ずると)庭に敷き詰めた小石が、本当に白いのです。

  〔評釈〕「大空がまったく晴れておそろしや」三十二首〔『アザリア』第二輯(盛岡高等農林学校アザリア会、大正六年七月十八日)〕の五首目。出だしに「大空」という同じ語句を用いた五首目でもある。既に述べて来たように、この事実が十分に技術的なのだが、抽出歌においては、第二句「これはまっさを」と、少し身振りを大きくしている。その後、話者は、一挙に視線を転じて、その視線は庭に注がれる。強調句「今更に」を挟んで、「庭にしきつめし小石が白し」と結ぶことになるのだが、この「白」は、もちろん「これはまっさを」を描写された、「大空の青さ」とコントラストをなす。「白と青」とのコントラストと言えば、若山牧水の著名歌「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」〔『新声』(明治四十年十二月号)、『海の声』(明治四十一年)、『別離』(明治四十三年)〕を思い浮かべる各位もあろう。なお、牧水は、啄木ほどでこそなかったが、嘉内好みの一人であった。
  (盛岡大学長)

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