2009年 8月 2日 (日)

       

■ 〈胡堂の父からの手紙〉226 八重嶋勲 20円の不足金に種種苦心中である

 ■298はがき 明治42年2月10日付

宛 東京市麹町区飯田町四丁目三十一、
                日松館
発 岩手縣紫波郡彦部村
前畧本日綿入ト羽織ト貮枚差立候、外之都合ハ困リ居リ候、尚ホ困リ居ルコト候推察致居候、近日安心ナル様可取計、右用事迄、早々
    二月十日      野村長四郎
 
  【解説】「前略、本日綿入れと羽織と2枚送った。外の物は都合できなくて困っている。なお、そっちでも困っていることと推察している。近日中に安心できるように取り計らう。右用事まで、早々」という内容。
  他の物とは、はかま、一重子、袷(あわせ)のことをいっているのであろうか。あるいは学費の工面のことかもしれない。
 
  ■299半紙 明治42年2月23日付

宛 東京市麹町区飯田町四丁目三十一、
                日松館
発 岩手縣紫波郡彦部村
前畧曽テ四拾五円請求之処弐拾五円送金セ(シ)筈、弐拾円不足金ニ対シ種々苦心中ナリ、他ヨリ可受取モノ三十円有之為メ折角督促致居候得共、何分早俄取不申如斯遷引ニ及定メテ待遠不思且ツ困リ居ルナラント推察致居候、
今二、三日中ニ必ラズ送金スルコト出来得ルナラン、
来ル六月頃迄送金今ヨリ心配致居候、何ニカ其地ニ於テ方法ナキモノニ候哉、
当方何モ変ルコト無之、借金ノ苦労ノミニ候、察セラレ度候、就テモ喜ハシキハ身体ノ健康ニ相成タルハ何ヨリノ事ニシテ今ニ於テ敢テ財産モオシムニ足ラントハ覚悟致居候共突差ノ場合相困リ候、
先達ノ同郷會ナルモノハ岩手是新聞ニ相見得共多分有名ノ人士ノミ○課業ノ傍ラ何ニカ世間名義顕レル様ナ仕事不出来モノカ、又可然途アレバ大学半途ニシテ仕官ニテモスル仕事ナキヤ、敢テ好ム次第ニ無之候得共○的ノ苦敷マギレ斯クハ相談スル訳ケニ候、
彦部学校工事出来シ、目下引移リ教授致候、帝校ノ事ハ何分委敷折節分リ度モノニ候、右用事迄
   二月廿三日     野村長四郎
     野村長一殿
 
  【解説】「前略、かつて45円請求のところ25円送金したはず、20円の不足金について種々苦心中である。他から受け取るべきものが30円あるのだが、折角督促しているが、何分はかどらない。きっと待ち遠しいことであろう。かつ困っているだろうと推察している。

  この2、3日中に必らず送金することができるだろう。

  来る6月頃までの送金今から心配している。何かその地で方法がないものであろうか。

  当方何も変わったことがない。借金の苦労のみである。察してもらいたい。ついても喜ばしいのは長一の身体の健康になったことは何よりのことで、今においてあえて財産を惜しむに足らんとは覚悟しているが、とっさの場合困っている。

  先立っての同郷会が岩手是新聞に見えるが、多分に有名の人士のみ。学校の課業の傍ら何か世間に名前が顕れるような仕事ができないものであろうか。またしかるべき途があれば、大学を半途にして仕官でもするような仕事ないか。あえて好む次第でもないが、○的(金策)の苦し紛れにこのような相談をする訳である。

  彦部学校の工事は出来上がり、目下引き移って授業をしている。帝国大学校のことは何分くわしく折節分かりたいものである。右用事まで」という内容。

  父は今回も、学校の課業の傍ら、アルバイトとかの収入の途がないものかと、いっているが、長一は、どうもそういうことは少しもやる気配がないのは、一体どういうことかと思われてならない。

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