2009年 8月 13日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉270 岩橋淳 「しにがみさん」

 落語の演目の中に、なんとグリム童話を原典とするものが、あるんです。

  落語中興の祖・三遊亭圓朝(1839〜1900)作、「死神」が、それ。

  ふとしたことから人の命を左右する力を持った死神と知り合ってしまった、貧乏な男。死神は、何の気まぐれか、男に不思議な能力を授けます。それは、生身の人間には見えることのない死神の姿が、見えてしまうこと。さらに、死神を追い払ってしまうことのできる呪文を教わってしまい、医者になることまで勧められます。

  一転、富を手にした男ですが、このままめでたし、と終わるはずもありません。強引なまでに運命を書き換えてしまった男の行く末は…?

  KHM(‖グリム童話の整理番号)44「死神の名付け親」を元に編まれたこの噺(はなし)を、十八番として演じる柳家小三治師の演出(落語は、演者によってオチまで変わることも)をベースに、229(「おじいちゃんのまち」)でもご紹介した木版画家がコツコツと彫り上げ、構成しました。木版画ならではの画調、効果的な色遣いが、秀逸。このところ刊行盛んな落語絵本の中でも、一個の「作品」として味わい深い一冊です。

  【今週の絵本】『しにがみさん』野村たかあき/作、教育画劇/刊、1365円(税込み)(2004年)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします