2009年 8月 27日 (木)

       

■ 〈北Gのライブトーク〉102 北島貞紀 感激!91歳のライブ

 とてもグルービーな夜だった。僕たちはH・ジョーンズの痩身でスタイリッシュな姿を見て、チャーミングな声を聴き、そしてビューティフルなジャズを楽しんだ。8月15日、一関のジャズ喫茶「ベイシー」。店内はすし詰め状態、観客の3分の1は立ちっぱなしだったが、H・ジョーンズの登場とともに、空気が一変した。いら立ちや息苦しさから、この狭い空間で特別にぜいたくな時間を共有するという親密さにかわったのだ。

  ハンク・ジョーンズは、1918年生まれの黒人ジャズピアニストである。今年、7月31日で91歳の誕生日を迎えた。いまだに現役、世界でもっとも人気のあるピアニストの一人である。その証とでもいおうか、この日の演奏は録音され、CDとなって販売される。

  個人的にいえば、しばらく彼から遠ざかっていた。しばらくというのは、…30年前である。30年前、僕はニューヨークでハンク・ジョーンズを見た。ブロードウェーでミュージカル「エィント・ミスビヘィブン」を見にいったら、なんと彼がピアノを弾いていたのだ。この驚くべき幸運を喜んだのはもちろんだが、彼のような一流ミュージシャンもこういう仕事をするんだと変に感動した記憶がある。そのころの彼の演奏は、僕には教科書のようなものだった。和声のつけ方がとても洗練されていて、しかもジャジィである。ソロは、饒舌(じょうぜつ)すぎず、間がありウィットに富む。彼をリーダーとした「グレート・ジャズトリオ」のレコードをよく聴いた。そのころ、まさに脂の乗り切った60歳だった。

  90歳を超えた彼の在りようは、勇気と希望を与えてくれる生き方の教科書になった。

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