2009年 10月 1日 (木)

       

■ 早池峰神楽が登録 ユネスコ無形文化遺産代表リストに

     
  岳神楽(盛岡市の妙泉寺大日如来例大祭で6月に上演)  
 
岳神楽(盛岡市の妙泉寺大日如来例大祭で6月に上演)
 
  世界の優れた芸能や伝統技術などを対象とした、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」(代表リスト)に30日、花巻市大迫町の早池峰神楽(国指定重要無形民俗文化財)など日本が提案した13件の登録が決まった。アラブ首長国連邦の首都アブダビで開催されている政府間委員会で正式決定した。

  代表リストは、06年4月に発効したユネスコ無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産保護条約)に基づき、芸能や社会的慣習、祭礼行事、伝統工芸技術などの国際理解や保護を推進する目的で作成。一覧表へ登録する無形文化遺産は条約締結国がユネスコ事務局に提案する。世界遺産とは異なり、専門機関による価値評価はせず、遺産の特殊性や保護措置などを説明する書類が整っていればリストに登録される。

  日本は国の重要無形文化財、重要無形民俗文化財、選定保存技術から、指定時期や地域バランスを考慮して順次、代表リスト入り候補として提案。将来的に提案可能なすべての文化財や保存技術の登録を目指す。

     
  大償神楽(花巻市教委提供)  
 
大償神楽(花巻市教委提供)
 
  日本関連では今回の13件のほか、既にユネスコより「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」として宣言されている「能楽」「人形浄瑠璃」「歌舞伎」が代表リストに記載されている。

  日本からは早池峰神楽のほか、重要無形文化財の▽雅楽▽小千谷縮・越後上布(新潟)▽石州半紙(島根)、重要無形民俗文化財の▽日立風流物(茨城)▽京都祇園祭の山鉾行事(京都)▽甑島のトシドン(鹿児島)▽奥能登あえのこと(石川)▽秋保の田植踊(宮城)▽チャッキラコ(神奈川)▽大日堂舞楽(秋田)▽題目立(奈良)、さらに日本文化の多様性を示す観点から▽アイヌ古式舞踊(北海道)|の登録が決定した。候補の一つだった選定保存技術の木造彫刻修理は会議開催前に取り下げられた。

■早池峰神楽

  早池峰神楽は花巻市大迫町内川目の岳、大償の2地区に伝承される神楽。両者が1976年に国の重要無形民俗文化財の第1号として指定された。もとは早池峰を霊峰として仰いだ山伏修験によって演じられたもので明治以降、土地の人々が伝承。現在は岳神楽保存会(小国朋身会長、会員16人)、大償神楽保存会(佐々木裕会長、会員約15人)が担っている。

  8月1日の早池峰神社例大祭などで演じられるほか、民家の座敷を舞台にした「宿神楽」も継承されている。式舞、座外の舞、狂言などから成り、式舞には「鳥舞」「翁」「三番叟」など、座外の舞には「神舞」「女舞」「男舞」などがある。すべての舞の最後には権現様と呼ばれる獅子頭による「権現舞」が舞われる。演目数はそれぞれ約40曲。室町時代に能が大成する以前の姿が残るとされる。

両者は「兄弟神楽」とも言われるが、継承の歴史や舞の特徴はそれぞれ異なる。岳神楽は「勇壮」、大償神楽は「優雅」と評される。

  岳神楽は近世初期から南部藩の手厚い庇護(ひご)を受けた。1679年に第29代南部重信公が大日如来を多くの人に参拝させようとして建立した盛岡市加賀野桜山の妙泉寺は、早池峰妙泉寺の別院で、夏の例大祭で長らく岳神楽が奉納されている。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします