2009年 10月 8日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉278 岩橋淳 タンタンのコンゴ探検

     
   
     
  日本では絵本の出版社から刊行されているので、書店では「海外翻訳絵本」の棚に分類されていることがほとんどですが、これは歴としたマンガ作品。いわゆる「アメコミ」とは違い、本作はベルギーの人・エルジェによって描かれた"B・D・"(バンド・デシネ)という、フランス語圏の作品群に分類されます。多くが美しいフルカラーで描かれた"B・D・"、「芸術」の一分野として指折られているあたり、さすがフランス。日本のマンガや絵本にも、早くそうした評価がなされんことを願うばかりです。

  さて、少年記者タンタンと相棒のテリア犬、スノーウィが世界を股にかけて活躍する「タンタンの冒険シリーズ」(全24作)は全世界で愛読されていますが、本作はシリーズ第2作。実は本稿でも紹介の『ちびくろさんぼ』『ぞうのババール』と同様に、第三世界をめぐる表現について、物議を醸した作品でもあるのです。

  最初期版が発表された1930年の世相、社会通念を背景に描かれたということを理解した上で接すれば、愉快痛快な冒険譚。

  優雅な船旅、謎の密航者、猛獣の襲撃、悪の組織との対決…、ピンチ、ピンチの連続を機知と度胸で切り抜ける展開は、あらすじだけを読むならば"007"並み、アクション、サスペンスの王道ど真ん中。そして、『ジャングル大帝』などの手塚治虫初期作品を彷彿とさせる絵柄。既視感を禁じ得ないのは、私だけでしょうか?

  【今週の絵本】『タンタンのコンゴ探検』エルジェ/作、川口恵子/訳、福音館書店/刊、1680円(税込み)(1946年)

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