2009年 10月 12日 (月)

       

■ 地区民集う夜、早池峰の神様の舞 盛岡市砂子沢の別当家で岳神楽

     
  地域の人の熱気がこもる下村家で行われた岳神楽「五穀の舞」  
 
地域の人の熱気がこもる下村家で行われた岳神楽
「五穀の舞」
 
  盛岡市砂子沢地区の神社の例大祭が10日開かれ、代々、神社の別当を務める下村福蔵さん(61)方で早池峰・岳神楽が行われた。かつて早池峰山を信仰する近隣集落を神楽衆が巡業した「回り神楽」の雰囲気を色濃く残す伝統行事。ユネスコ無形文化遺産に登録され、さらに脚光を浴びる早池峰神楽だが、砂子沢地区では長年、神楽衆を迎え入れ、早池峰の神々に感謝する祭りを地道に守っている。この日も地域の人が大勢詰めかけ、夜遅くまで「早池峰の神様の舞」をたんのうした。

  下村さん方では毎年、例大祭に合わせて神楽が舞われている。始まりは200年前、300年前とも言われ定かでない。招かれた岳神楽保存会(小国朋身会長)の神楽衆は夕方、山祇神社と下村さん方の裏山にまつられている大日如来の神殿で祈とう。地域の婦人たちが用意した具だくさんの山菜汁などで手厚いもてなしを受け、神楽に備えた。

     
  神楽を締めくくる権現舞。「胎内くぐり」で息災延命を願う砂子沢地区の人々  
 
神楽を締めくくる権現舞。「胎内くぐり」で息災延命を願う
砂子沢地区の人々
 
  舞台は四方にしめ縄が張られた下村さん方の12畳の板の間。黒光りする柱に支えられた板の間は、神楽のために天井を高くしてあるという。午後6時半過ぎ、笛の音、太鼓、鉦(かね)のにぎやかな響きに誘われるように式舞の一つ「鳥舞」がスタート。刀を激しく交わしながら舞う「龍殿の舞」、優美な「天女の舞」、こっけいなやりとりで笑わせる狂言など約5時間、13の演目が繰り広げられた。

  地域の人たちは酒やさかなを片手に神楽を楽しみ、刀を激しく振り回す荒舞の見せ場や神々が見えを切るように静止する場面では「よーし」「いいぞ」と拍手喝さい。最後の演目の「権現舞」で、観衆が権現様の幕の下をくぐって息災延命を願う「胎内くぐり」が行われると、酔いの回った人も手を合わせて姿勢をただし、権現様に頭をかんでもらっていた。

  「とにかく楽しい。神楽衆も、地域の人も喜んでくれる。自分が元気なうちは毎年、続ける」と下村さん。下村さんの母親のイトさん(82)も「祭りに合わせて、ふだんは離れている若い人たちが子や孫を連れて大勢帰ってきてくれる」と目を細め、神楽衆に感謝していた。

  舞を終えた小国会長(50)は「神楽の芸能が注目され、イベント的なものにとらえられがちだが本来、神楽は人々の生活や暮らしとともにあるもの。早池峰の神様を招いて祭りをするという、本来の姿を忘れないでほしい」と願っていた。

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