2009年 10月 15日 (木)

       

■ 〈北Gのライブトーク〉109 北島貞紀 ウッドストック1969(その3)

 陰りのなかったアメリカが、ベトナム戦争でつまずいた。そして、それまでのアメリカに対するアンチテーゼとして、物質より精神性を重んじるヒッピーイズムが生まれた。「ラブ&ピース」愛があればすべてがうまくいく、そんな幻想がドラックの煙のように広まっていった。このヒッピーイズムが、ウッドストックのもうひとつの主役であった。

  病気やけが人が5千人、出産2名、死亡2名。ウッドストックに40万人が集まって過ごした3日間の記録である。雨や嵐にたたられ、飲み物や食べ物が不足する中で、観客は自警団を組織し、食べ物を分けあい、マリファナを回し飲みしたという。

  映像がもたらす真実をうのみにしてはいけない。撮影した真実のかげに、撮影しなかった部分の真実が隠されている。観客側のトラブルは余り映されていなかったように記憶するが、実際にはいろんな事が起きていたに違いない。

  このコンサートのトリ、ジミー・ヘンドリックスが、爆撃音入りのアメリカ国歌「星条旗よ永遠なれ」をソロで弾く場面は、最も印象的シーンである。いまだに僕の脳裏にあの音と映像が焼きついている。国歌のメロディーの合間に入る爆撃音は、反戦の象徴となった。

  だが、このジミヘンの演奏、ほとんどの人が聴いていなかった。度重なる雨の影響でステージが遅れ、ジミヘンが登場したころは4日目の朝(月曜日)になっていて、みんな帰路についていたのである。さらにいうと、ジミヘン本人は爆撃音に反戦の意味を込めたわけではなかった。(その事実は、僕もつい最近知った)

  ともあれ、20世紀最大の野外ロックコンサートは成功裏に終わった。出演アーティストの評価が上がり、ロックは商売になることが分かった。そしてヒッピーイズムも伝説をつくったのである。「音とマリファナが、ラブ&ピースが世界を変えるのだ」


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