2009年 10月 24日 (土)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉77 望月善次 秩父なる断層面の

 秩父なる断層面の 熊谷は 陣屋の
  旭扇(きょくせん) 広げて語れり
 
  〔現代語訳〕秩父なる断層面を見せているこの熊谷の地は、まるであの熊谷直実が、陣屋で旭が描かれている扇を広げて語っているかのごとき地なのです。

  〔評釈〕「山に向へば」十首の八首目。抽出歌の評釈に入る前に、訂正と補足を一つずつ。訂正の方は、第六十二回(9月12日)の「冷やゝかの 銀河光軸 夜の空に一面かゝる 秋の風かな」に関するもの。「銀河」に関連して嘉内中学一年の時のスケッチブックに及んで「銀河ヲ行ク彗星ハ夜行列車ノ様ニテ遙カ虚空ニ消ヱニケリ」を挙げたが「銀河」ではなく「銀漢」。補足は前回のもの。「鳩糞石」は、広義に言えば、賢治好みの「蛇紋岩」に含まれるもの。さて、抽出作品に戻るが、これも歌意を特定が難しかったものの一つ。本作品は、歌稿ノート『秩父始原層』によっており、そのおびただしい作品群からの抜き書きの形で『アザリア』となっている。原ノートも保阪家の御厚意で見せていただいたが、意味特定は難しかった。が、「自説の明示」を、連載の旨としているので、今回は、〔現代語訳〕に示したように「断層面」、「地名熊谷」、「熊谷直実」とを力技で結んでおいた。
(盛岡大学学長)



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