2009年 12月 3日 (木)

       

■ 〈北Gのライブトーク〉116 北島貞紀 ジャズ喫茶ダンテ

 「レイ・ブライアントとコインランドリーに行ったのよ」と奥さんが言う。「えっ、レイ・ブライアント、盛岡に来たことあるんですか?」

  「何年前になるかなぁ。エージェントから、プライベートな質問はするなって言われたけど、ずばり切り込んでいったら、ちゃんと応えてくれたよ」オーナーの高橋さんが言う。

  歯切れが良くグルービーな音を聴かせてくれる、黒人ピアニスト、レイ・ブライアントの「グリーンス・リーブス」をリクエストした時の事だった。

  週に1度か2度、階段をトントンと上がって、ジャズ喫茶「ダンテ」のドアを開ける。席に着くと、黙っていても奥さんの手作りランチ弁当が出てくる。盛り付けがきれいで、量がちょうどいい。もちろん味はいうまでもない。

  そして、帰り際に交わすジャズ談義がたまらない。何しろ年期が違うのだ。たくさんのミュージシャンとの出会い、さまざまな音を聴きこんだオーナーの言葉は深い。

  肴町の現在地に移られたのはいつのことだろう。以前は、大通、喜の字パーキングの近くにあった。そのころ、2、3度店に行ったことがあった。その出会いを多分オーナーは覚えていらっしゃらないだろう。

  24、5年前のことである。僕は、映画館通り、今はなき東映の裏にあるビルでピアノを弾いていた。その店のオープンに合わせて大阪から帰ってきたのだった。店から、ジャズ喫茶ダンテまで歩いて5分の距離である。

  「最近オープンした○○○という店、知っていますか」僕は、自分の店の名前を言った。

  「あぁ、えらい迷惑している。女の誰々を出せっていう電話がしょっちゅうかかってくる」

  僕の店はいわゆるクラブであり、名前がなんと同名の「ダンテ」だったのだ。…そのために引っ越されたのかどうかは、僕のあずかり知らぬことである。


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