2009年 12月 8日 (火)

       

■ DNA解読最新鋭装置を導入へ 岩手生物工学研究センターに

 財団法人岩手生物工学研究センターに09年度内に次世代シーケンサー(大規模DNA解読装置配列解読装置)が整備される。同装置は同センターの持つ遺伝子発現解析法スーパーセージ法などの最先端技術を駆使して活用することで、DNAマーカー開発を飛躍的に推進し、新たな水稲品種の早期開発などにつなげようと導入される。次世代シーケンサーと呼ばれる最新の装置は国内での導入事例はまだ多くない。

  装置の導入は県予算に計上され、開会中の県議会にイルミナ社(米)の大規模DNA配列解読装置を9025万円で取得する議案が提案されている。財源は国の緊急経済対策を活用する。

  装置は生物のDNA配列を解読する装置と解読する生物試料を本体に供給する装置、生物試料の前処理を行う装置、解読されたDNA配列データを保存する装置で構成。100億塩基(DNAの基本物質)の性能を持つ最先端の機能だ。

  県では同センターが特許を持ち世界に誇るDNA解析技術を、同装置の活用でさらに生かし、DNA解読装置情報を活用した次世代型品種開発技術を確立することで、コシヒカリを超える極良食味水稲品種などの新たな「いわてブランド品種」の早期開発などを図る。

  米の新品種開発には食味や耐冷性、耐病性などから期待が大きいにもかかわらず、高品質良食味米の開発が遅れているのが現状。従来型の育種は交配した子孫を実際、ほ場に植えて研究員の目で選抜するため、開発まで10年から15年の長期間を要し、多大な労力も費やされる。こうした課題から、迅速、省力、低コストの効率的育種が大きな狙い。

  装置活用で開発を飛躍的に推進しようというDNAマーカー育種は、さまざまな遺伝子を持つ多数の個体の中から、耐冷性が強いなど、必要なDNAを持った個体をDNA解析で効率的に選抜を可能にすると期待される。多様なニーズに合わせてデザインした品種を効率的、短期間に開発するテーラーメード育種は、県土が広く、環境が異なる県内各地域に適した品種開発への貢献も期待される。

  次世代型品種開発技術が確立されれば、DNAマーカー開発に要する時間とコストが10分の1以下になると試算されている。同センターで選抜技術を確立し、これを基に県農業研究センターなどで実際に品種開発する流れとなる。

  水稲品種に関しては、極良食味で耐冷性、耐病性が極めて強い、コシヒカリを超えるブランド米の品種を14年を目標に開発するほか、リンドウやシイタケにも活用。リンドウは遺伝子情報が未整備でマーカー開発自体が困難だが、15年に世界初のDNAマーカー育種による高品質品種を、13年に坑がん性成分を豊富に含む品種を開発する目標を立てている。

  遺伝子技術はさまざまな分野で活用、応用されているように、同装置は畜産業や水産業の例えば養殖、医療などへの可能性も広がる。県農業技術普及課によると、同社の装置は国内では東京大学や国立がんセンターなどに次いで5例目。他社装置は沖縄県や千葉県の出資団体などが導入しているという。

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