2009年 12月 8日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉244 八木淳一郎 望遠鏡の歩み(その7)

 望遠鏡の歩みを語るとき、天文学の発展に大きな力となったパロマー山天文台とその200インチ(508a)に大反射望遠鏡に触れない訳にはまいりません。

  小生がパロマーを訪れたのは1991年の夏。天文台まではロサンゼルスからバスで2時間半ほどです。カリフォルニアの乾いた空気と、オレンジ畑の緑と赤土の山々の色の対比が旅を心地好いものにしてくれました。

  途中からつづらおりの山道となり、海抜1706bの丘陵にある天文台の周りは見渡す限りの草原です。空は雲一つなく晴れわたり、ハイキングの親子連れの姿もあちらこちらに見られます。

  そして、目の前にはあの建物もドームもみな真っ白に塗られた天文台が威厳をもって、というよりは辺りの優しい風景に溶け込むようにしてそびえているのでした。

  パロマー山天文台はシカゴ大学のジョージ・ヘール(1868〜1938)の熱意によってカーネギー財団が1250万ドルの巨額を投じ、1928年に着手して1948年6月に完成しました。

  ヘールは完成を見ずに他界しましたが、完成記念式典において、カリフォルニア大学評議会により200インチ望遠鏡をヘール望遠鏡と命名したことが発表されました。

  なお蛇足ながら、盛岡市内の古書店で偶然見つけた昭和22年8月24日発行の「週刊朝日」(当時の定価5円)には世界一の望遠鏡という見出しで、完成が間近であり天文学への多大の貢献が期待される旨の記事が載っています。

  直径508aの主鏡は焦点距離1694a(F3、3)。米国のコーニング社のパイレックスガラスでできていて、厚さ76a、重さは15dもあります。

  1934年にコーニング社でガラスの流し込みが行われ、10カ月かけて焼きなましてからパサデナの工場で研磨されましたが第二次世界大戦で中断され、1947年に終了しました。鏡筒は長さ18b、直径10b、重さ25dという巨大なものです。

  可動部分の重量は500dもあり、大きな歯車とモーターで星の動きを追尾するのですが、ベアリングと絶妙のバランス調整によって片手で動かせるほどです。

  天文台の建物の高さは41b、ドームは直径41・7bで重さは3千dもあるのですが、これも小さなモーターで滑らかに回転します。

  ヘール望遠鏡は今でこそ世界一の座を他に譲ってしまいましたが、それでもなお数々の発見や宇宙の謎に迫る新知見を私たちにもたらしてくれています。
(盛岡天文同好会会員)

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