2009年 12月 15日 (火)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉96 望月善次 世の中のてんとうむしだましは

 世の中のてんとうむしだましは分析室
  に さもさも顔にくっつきてあり
 
  〔現代語訳〕世の中のテントウムシダマシというテントウムシダマシはこの分析室にいます。本当に、全く顔にくっついています。

  〔評釈〕「寂れたる空」十首〔『アザリア』三号〕の八首目の作品で、小題「(試験管わりのうた)」の五首目。テントウムシダマシは、「テントウムシダマシ科の甲虫の総称。日本産は体長5ミリほどの小型種が多い」また、ジャガイモ、ナス、トマトなどのナス科植物の葉を食べる害虫。」である「ジョウヤホシテントウ」の俗称としても用いられることもあるという〔いずれも『マイ・ペディア』〕。「ヘェ〜〈テントウムシダマシ科〉なんていう〈科〉があるんだ」というのが、評者の実態であるからこれ以上の説明はとても無理。情景としては、分析室に多数のテントウムシダマシがおり、その一つが自分または同室にいた者の顔にもついている様などを思い浮かべてみた。なお、全くの単独作品だと見る場合には、同室者にいた者(鏡等の存在を考えれば話者本人を入れることも可能だろう。)の顔に染み(肝斑)等があり、それをテントウムシダマシになぞらえる場合の可能性も否定は出来まい。
  (盛岡大学学長)


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