2009年 12月 17日 (木)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉97 望月善次 柴のうへのコスモス班晶

 芝のうへのコスモス班晶 花とると
  仰いだ空のなんと青さよ
 
  〔現代語訳〕芝の上の斑状組織のようなコスモス群よ。その花を取って、(目を上空に転ずると、その)仰いだ空の何と青いことよ。

  〔評釈〕「寂れたる空」十首〔『アザリア』三号〕の九首目の作品で、小題「(試験管わりのうた)」の六首目。「班晶」は「斑晶」のことか。「斑晶」なら「斑状組織」のことで「岩石の組織を表す語。大きい結晶が細粒結晶集合中またはガラス中に散在する組織。」〔『マイ・ペディア』〕となる。ただし、繰り返しているように「科学音痴」の評者のことゆえ、自分で言うのもおかしいが、自信のないことに自信を持っているのが実情。「芝のうへのコスモス班晶」も〔現代語訳〕では、花の「コスモス」を「斑晶(斑状組織)」に見立てたのだとしたが、「コスモス班晶」の語句の並びからは、この「見立て」への違和感もあることも率直に記しておこう。違和感と言えば、意味のつながりの自然さという点からすると、「花とると」から「仰いだ空の」への接続にも違和感がある。この違和感は、時に見られる、嘉内の作歌時の強引さによるものか、評者の力量不足によるものかについては宿題にしておきたい。
  (盛岡大学学長)

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