2009年 12月 22日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉245 八木淳一郎 望遠鏡の歩み(その8)

 天文学の研究に不可欠の望遠鏡。現代の天文学を支えるのはレンズやミラーを用いた光学式の望遠鏡ばかりではありません。

  宇宙のさまざまな方角からやってくる電波をキャッチする電波望遠鏡や宇宙線を捕らえる宇宙線望遠鏡、あるいはエックス線望遠鏡や赤外線望遠鏡、ニュートリノ望遠鏡などなど、むしろ目に見える光の領域よりもそれ以外のはるかに広い波長域にわたっての情報をくまなく拾いあげて、宇宙の構造や宇宙の歴史といったものを解明する作業が世界中ですすめられています。

  さて、こうして得られたたくさんの情報や知識はどれほど大切なものなのでしょうか。天文学の意義は、一つには私たち人類が存在する訳を知ろうとすることにあります。

  いま一度考えてみましょう。そもそも私たち人間は、どうしてまた他の星ではなくこの小さな地球という名の星に生まれ、お互いに顔を合わせることになったのでしょうか。

  しかも、太陽のような星と同じ元素から成る身体を持っていることなど…。いまさらながら私たちの存在自体、実に不思議そのものです。

  肉眼や、望遠鏡や双眼鏡のレンズを通して夜空を見ると、そこには幾千幾万幾億もの星が私たちの存在には関係なく、それでも何かほほ笑んでくれているかのように静かにまたたいています。

  私たちが片隅の方に所属している天の川銀河の中のこうした星々ばかりか、これと同じような数千億個の星から成る銀河がこれまた数万もあるのです。

  こんなにも多くの星がある広大な宇宙という世界の中で、しかも過去から未来への悠久の時の流れがあるというのに、今のいま、国や民族、人種などというささいな違いがあるにしろ、どうした訳かよりによってこの地球に生まれ、生きている不思議。

  そして一人一人が分け隔てなくこの宇宙の一員になっているという事実―。

  もし生まれてこなかったならば、宇宙というとてつもなく広大な世界があることさえ知ることができなかったでしょうに、こうしてそのことに思いをめぐらせることができる不思議。

  自然科学教育の第一義は本物に触れたり本物を見ることにあるとされます。教育的観点からはもちろんのこと未来を担う子供たちが星を見ることで地球上のいろいろな人のことを考えるようになる。

  そのためにも天文台や望遠鏡は、実はとても大切なものなのだとお分かりいただけるでしょう。
(盛岡天文同好会会員)

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