2009年 12月 29日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉86 及川彩子 プレゼピオの明かり

     
   
     
  日本では、クリスマスが終わると、街の装いは正月準備に一転しますが、キリスト教の国では、1月6日までがクリスマスシーズン。イエスの誕生を知った東方の博士たちが、流れ星に導かれ、イエスの生まれた馬小屋を訪ねたのが1月6日です。

  クリスマスツリーの起源は、6世紀のドイツ。古くは、キリストのイバラを想像させるヒイラギを飾る習慣でした。後に、神聖視されていたモミの木が使われるようになり、宗教改革の旗手ルターが、枝に蝋燭(ろうそく)をともしたのが始まりと言われています。

  サンタクロースは、4世紀のトルコの聖ニコラウスがモデル。貧しい家にお金を恵み、事故から子供を守るという奇跡を起こしたので、守護聖人になったと伝えられています。

  白いヒゲに太っちょのサンタが登場するのは20世紀。サンタは、コカ・コーラの広告でした。真っ赤なガウンはコーラの色。トナカイのソリや、サンタがやって来る煙突も、アメリカ商戦の企画から生まれました。

  敬虔(けいけん)なカトリックの国イタリアでは「プレゼピオ」が欠かせません。イエス誕生の場面を人形で再現した箱庭風の飾りで、創始者は聖人フランチェスコ。

  馬小屋にマリアとヨゼフ、ワラに包まれたイエス、羊飼いや天使、ヤシの林とエルサレムの町など、趣向を凝らしたプレゼピオは、「自分の心以外の争いは、あってはならない」と説く聖フランチェスコの楽園を表します。

  我が家の次女が通う小学校の今年のテーマは「平和」。ペットボトルで作った世界の民族人形を、箱庭いっぱいに配置し、父兄からも評判になりました〔写真〕。

  ところが、クリスマスを目前に、一家無理心中という出来事があり、小さな町に起きた突然の悲しみに、広場のツリーの明かりが消され、諸行事も延期されました。

  でも、子供たちのプレゼピオの明かりだけはともり続ける静かなクリスマスでした。

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