2009年 12月 31日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉290 岩橋淳 こびととくつや

     
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  「こどもたちと家庭の童話」と銘打ち、ドイツの童話を集め、編んだグリム兄弟の労作、いわゆるグリム童話。元々が聞き取り取材によるものであり、同じような話が土地や伝承者によって違っているのはむしろ当然ではあるのですが、世に「こびととくつや」「こびとのくつや」として親しまれているこの物語、調べるとKHM39「魔法を使うこびと」に行き着きます(KHM‖キンダー ウント ハオスメルヒェン‖とは、グリム兄弟によって蒐集‖しゅうしゅう‖された物語に割り振られた整理番号)。

  さて、一軒の靴屋さん。相当のウデを持ちながら持ち前の「正直」が災いしたか、商売繁盛とは縁遠く、ついに行き詰まってしまいます。しかし絶望することなく、唯一残った一足分の革を下ごしらえして明日に備える実直さが、不思議なできごとを招く…。

  有名な物語なのでネタバレで行きますが毎夜現れては靴を作っていく二人のこびとは、なぜか素っぱだか(これがおそらく神様の配剤)。お返しに上から下まで着る物をひとそろえ作ってもらったその夜を境に、こびとたちは姿を消してしまいます。

  たとえばこれが本邦「つるのおんがえし」なら寂寥(せきりょう)感ただよう結末となるところ、カラッと明るいエンディングになるのは、お国柄の違いなのでしょう。

  正直、真面目に働くひとが、報われますように。よいお年をお迎えください。

  【今週の絵本】『こびととくつや』グリム兄弟の童話から、K・ブラント/絵、藤本朝巳/訳、平凡社/刊、1575円。

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