2010年 1月 3日 (日)

       

■ 〈不況に挑む地場企業〉1 みかわや 高齢者向けの店を

     
  今年も元気で頑張るみかわやの従業員ら  
 
今年も元気で頑張るみかわやの従業員ら
 
  100年に1度の不況と言われる。08年10月のリーマン・ショック以後、世界同時不況が続いている。そして2010年が開けた。地域経済は今年も不況が続く模様だ。消費の可処分所得の減少、雇用情勢の悪化、設備投資の抑制など景気好転の兆しは薄い。市内では安売り合戦も横行し、デフレが一層進行する様相も呈している。地域経済の経済規模も縮小し、倒産が開業を上回り地域経済は赤信号がともったままだ。地場企業経営者、商店主らはこの不況にどう立ち向かい、乗り越えようとしているのか。これまでの経営では生き残れない。しかし、そう簡単に秘策はない。そんな厳しい経営環境の中で不況を打破し地場ならではの経営で難局に立ち向かう経営者がいる。自社の専門性を徹底的に掘り下げ、それぞれ専門店の中の専門店を目指し「超特化経営」を実践している。顧客や商品などを徹底的に絞り込み、自社の土俵で勝負している。不況の時代の中でも、後ずさりせず、希望と行動力を見せる地場企業を追った。(大森不二夫)

 盛岡市南大通の総合衣料販売店みかわや(齋藤恒夫社長)は2010年、コア顧客の高齢者に特化した商売に徹する。若者をターゲットにするのでなく、徹底的に高齢者に対象を絞り込み、高年齢者向け衣料品店を目指す。

  今年も低価格路線を堅持しながら新サービスの実施も計画している。異業種との連携なども考慮し、商店街の活性化にも力を入れる。

  創業56年の同社は、昨年末の売り出しで来店者数に変化はなかったものの、客単価がダウンしたという。高額商品が売れず、低価格商品ばかりを買い求める傾向が強まった。同社では今年もデフレは続くと見る。

  齋藤社長(52)は「まさにデフレの状態であり、既に2番底の状態。安い商品だけが動く。来店者数は変わらないが客単価は確実に減少している。当面この傾向は続く。まずはこの傾向に合わせなければならない」と言う。

  地方経済は低迷のままで可処分所得が目減りし衣料費に回す金がないのが実情。郊外では大手同士がバトルを展開している。「これからさらに厳しくなろう。何が起こるか予想できない。その中でいかに地場企業としてこの場所で生き残るか。そのためにも商売の基本である顧客ありきに戻らないと。既存顧客を大事にしながら新規客の開拓を行いたい」と力を込める。

  同社では52人の従業員の雇用を維持しながら消費者ニーズに合わせた商売を模索してきた。肴町のさかな館、みゆき館、南大通のしょうが館の3館態勢で中心市街地の店舗展開を強化。品目別の店舗構成や休憩室やバリアフリー対応のエレベーターを設置するなど消費者の利便性への対応も講じて
いる。

  商業環境が変化して地場の店舗が相次いで姿を消すなかで、高齢者向けの店舗として従業員のリストラもせず生き残ってきた。

  齋藤社長は「高齢者を対象とした商売は大変な面はある。求められた商品の並ぶ場所に連れて行ったり、ちゃんと話を聞くなど手間はかかる。しかしそうやって接することが一番大切と考えている。当店にはマニュアルはない。当店は全てを効率化する企業ではない。あくまで地域に店を張る商店」と経営姿勢を話す。

  「人と人の結びつき、心の有り様で商売が決まる。そのためにも来店客の気持ちが理解できる従業員の教育にさらに力を入れる。各従業員が客の立場になり同じ目線でサービスするように」と従業員の個性を重視した教育を目指す。

  今年の春以降、みかわやのオリジナルカードを発行する。具体的な内容はこれから詰めるが、一定のポイントが貯まれば現金で還元する。また異業種との連携も行い、点から線での活性化策も検討している。

  「企業ではなく街の中の商人として高齢者に優しい店を目指し、従業員と一緒に力を合わせこの1年を乗り切りたい。商店街の中には高齢者に特化した街があっていいはず。同じような考え方の商店と連携を図りたい」と話す。


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