2010年 1月 7日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉291 岩橋淳 十二支のおはなし

     
   
     
  あけましておめでとうございます。今年も名作新作怪作の数々、ご紹介いたします。

  では、新年一発目は怪作で。怪作と言えばこのひと、内田麟太郎氏。昨年は盛岡で講演があり、その人となりに接する機会がありましたが、やはりアヤシイ、もとい変わった、いやさ童心を忘れない方との認識をあらたにした次第です。かたや新人画家の発掘、登用にも積極的で、絵本界への貢献、少なからぬ方でもあるのです。

  本作は『たぬきのおつきみ』(277回)でもご紹介した、個性派・山本孝さんとの共作。十二支の成り立ちについて、アジア諸国に伝わるおなじみの物語をアレンジしたもの。

  とある年の瀬、神様(お釈迦様)が動物たちを集めて、向こう12年、先着順に1匹ずつ「アニマル・オブ・ザ・イヤー」とする旨、宣言します。われこそは、と勇んだ動物たちですが、結果、知能派・ネズミが第1席を獲得し、ネズミの計略にはまったネコが選外となってしまう…。ネズミの狡(こう)知、トラ竜イノシシの過剰、イヌとサルの一触即発など、本来素朴なはずの寓話がこんなに「笑えてしまう」のは、語り手描き手の大技小技によるところ大。

  内田氏の言によれば、ストーリーをいったん渡してしまった後は描き手に任せてしまうことが多いようですが、それも信頼あってこそ。コンビネーションの妙が生んだ「快」作であること、間違いではないのです。

  【今週の絵本】『十二支のおはなし』内田麟太郎/文、山本孝/絵、岩崎書店/刊、1260円。


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