2010年 1月 7日 (木)

       

■ 〈北Gのライブトーク〉121 北島貞紀 ご学友

 長野に住む井出君から年賀がきた。「昨年の3月に、CNNを早期退社し、その後シアタールームの設計・施工に明け暮れました。完成したので遊びに来てください」とある。

  ちょっと驚いて、ケイタイを鳴らした。そういえばここ2年ほど声を聞いていない。

  「新幹線通勤を20年やったからね。1日4時間の通勤時間は、残りの人生を考えるともったいなくなってね。シアタールームは、自分で塗装なんかもやったんで、ヘルニアが悪化して腰が痛くて大変だったよ」と、少しも大変じゃない口ぶりで言う。

  いつものトーンでクールに話す。やってきたことは結構大胆なのに、エキサイトした彼を見たことがない。趣味人である。何につけても一家言ある。群れない。まさに唯我独尊の生き方なのだが、決して肩肘張っていない。

  井出君は数少ない大学の同胞であり、専攻した英文科のなかでは、たった一人の友人である。ただし同級ではない。その出会いのシーンは今でも鮮明に覚えている。

  大学に入って半年後に病気になって1年間入院した。結果、2年間を棒に振ったわけで大学にもどった僕は、2年後輩の新入生と、また1回生をやり直さなければならなかった。

  そんな訳で、クラスに知人も友人もおらず、フレッシュな新入生の中に、やれやれといった屈託をかかえ、斜に構えて最後列の席に着いた。

  「ここ空いてる?」といって横に座ったのが井出君だった。僕と同じにおいがした。

  その授業中、とてもつまらない文法か何かだったが、彼はペーパーバックを読んでいた。

  「何を読んでるの?」と聞くと

  「Love Storyの原書」とすまして答えた。同名の映画がヒットしていた。


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