2010年 1月 10日 (日)

       

■ 〈早池峰の12ヶ月〉27 丸山暁 早池峰山のふもとにて

     
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  すっぽり雪を戴(いただ)いた早池峰山、遠くで見る山はやっぱり雪山が美しい。本コラムは「早池峰の12カ月」と銘打っている。早池峰山は岩手の方々にはおなじみの山だろうが、一度は早池峰山なるものと、僕がこの地に来た経緯を紹介しておこう。

  早池峰山(1919b)は岩手県のほぼ中央、頂上は大迫町に位置し、中岳(1679b)、鶏頭山(1445b)、ちょっと離れて薬師岳(1645b)が連なる早池峰連峰の最高峰であると共に、今年ユネスコ文化遺産に登録された「早池峰(岳・大償)神楽」の御神体でもある。

  登山的にはそんなに際立った山ではないが、登山口の樹林帯から登り始め、天然記念物ハヤチネウスユキソウに代表される高山植物帯で汗をぬぐい、ガレ場(大きな石がゴロゴロころがっている斜面)やちょっとした岩場、クサリ場でヒヤリとし、小さな草原的な頂上にたどり着くと、360度岩手全土が見渡せるような眺望が開ける。

  僕は、東京暮らしのころは、学生時代から穂高、谷川岳、白馬など、結婚してからも上(かみ)さんと谷川岳や八ケ岳、丹沢、秩父などの山に毎年のように登っていた。しかし、早池峰山はここに来た数年間に2度ばかり登っただけである。

  早池峰山には関東辺りからの登山者も多いようだが、山暮らしが日常になれば、わざわざ登山でも
なく、山靴は、毎年手入れは怠らないが、靴棚にしまいっ放しである。

  さてなぜこの地に来たかであるが、38歳でゼネコンを辞め、西欧放浪の旅を終え、東京練馬で移住先を探し始めて2年目のことである。南は四国、北は岩手・新潟、群馬・長野など関東甲信越はもちろんのこと、既に全国30数カ所の役場や農協に手紙を出し、現地を訪れ廃屋や土地を探したのだが、なかなかいい物件が見つかず、少々焦りも出ていた。

  そんなある時、暇に任せてTVを見ていたら、地方局制作のドキュメンタリーをやっていた。それが早池峰山の懐に抱かれ、稗貫川が流れる小さな町の小さな小学校の女先生の物語、IBC制作の「北上川のカッパたち」というドキュメンタリーだった。

  そこに描かれた世界は、まさに僕が捜し求めていた環境、緑豊かな大地、清流あり人間ありの世界だった。それからすぐに、大迫町役場に手紙を書き、何度か大迫を訪問し、元タバコ畑を手に入れ小さな家を建て、現在、移住17年目である。

  さてさて住めば都というけれど、果たして住んでさえいればどこでも都になるか?そんな事を模索しながら暮らしている。「早池峰の12カ月」はそんな僕が書いている。

  (丸山暁建築・空間工房、大迫・外川目在住)

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