2010年 1月 26日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉88 及川彩子 ルーマニアの友人

     
   
     
  近所に住むルーマニア人の女の子アンナリザは小学校3年生。栗毛色の髪、色白でエキゾチック。人懐こく、わが家の娘たちとも大の仲良しです。

  民族紛争で混乱するルーマニアからイタリアに職を求めてきた家族は数万人。彼らにとって、イタリア語は言語的に最も近く、数日で話せるようになるそうです。アジアゴにやってきた当時、アンナリザは、まだ生後4カ月でした。

  夏は避暑、冬はスキー・スケート、別荘地でも知られるここアジアゴの町。母親ルーミはホテルの厨房、父親は大理石の切り出し場で働いていましたが、なじめずに数カ月で帰国。離婚したルーミは、幼いアンナリザを抱え、ホテルに住み込みで働き続けたのです。

  その後イタリア人のアレッサンドロと出会い、私たちが住むポッダ通りのアパートに越して来たのが2年前。ある日、アンナリザがアレッサンドロに連れられ「ピアノを習いたい」と訪ねてきたのです。

  以来、母親ルーミとはおけいこのたびに庭先で立ち話。離婚当時のことは多くは語りませんが、故郷のこと、5人姉妹のこと、イタリア人の悪口まで話題は尽きません。いつも明るい彼女といると、何かを共有している気持ちにさえなるのです。

  昨年の夏は、アンナリザの弟が生まれました。ルーミは結婚していませんが、アレッサンドロの両親も大喜びで、毎日ポッダ通りにやって来ては乳母車を押しています。出産を機に、ルーミとアンナリザにも「イタリア国籍を」と勧めているそうですが「私は死ぬまでルーマニア」と、彼女の意思は固いのだそうです。

  最近ルーミは、ルーマニアから一人暮らしの母親を呼び寄せました。「ルーマニアのスープは、ジャガイモも魚も肉も野菜もいっぱい入っていて最高においしい」と言うアンナリザ。ピアノの送り迎えは、もっぱらルーマニアのおばあちゃんの仕事です。

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