2010年 1月 27日 (水)

       

■ 〈県内初の裁判員裁判〉裁判員6人選任、4日間で判決まで

     
  県内初の裁判員裁判が行われた盛岡地裁301号法廷(代表撮影)  
 
県内初の裁判員裁判が行われた 盛岡地裁301号法廷 (代表撮影)
 
  県内初の裁判員裁判が26日午後、盛岡地裁(佐々木直人裁判長)で開廷した。公判は29日の判決まで4日間。昨年6月に妻を殺害したとして殺人罪に問われている遠野市の伊藤賢一被告(54)の案件を対象に審理が始まった。26日午前には開廷に先立ち、裁判員の選任手続きが行われ、男性3人、女性3人の計6人の裁判員と、男性3人の補充裁判員が選ばれた。初めて司法参加した市民たちは緊張した表情で法壇に並び、検察、弁護双方の陳述に真剣な表情で耳を傾けた。

  法廷は同日午後1時半、301号法廷で開かれた。裁判員6人は裁判官3人を中心に左右を固め、向かって右側に男性1人と女性2人、左側に男性2人、女性1人が座った。補充裁判員は右側後列に座った。被告人は右手の最前に座った。

  裁判員候補は午前9時前から盛岡地裁に続々入り、同9時35分から11時45分まで約2時間10分かけて選任手続きに臨んだ。

  午後1時半前に伊藤被告が入廷。伊藤被告の手錠と腰縄を外し、裁判員に予断を与えない配慮がなされた。背広姿で、公判中は終始うつむいていた。

  検察側が起訴状を読み上げた。起訴状によると伊藤被告は昨年6月26日午後11時35分ころ、遠野市内の自宅の2階寝室で、当時45歳の妻に対し、殺意を持って台所から持ち出した包丁で突き刺し、出血性ショックで死亡させたとされている。伊藤被告は起訴事実を認めた。

  公判前整理手続きでは事実関係に争いはなく、情状面での量刑の判断が焦点となる。

  公判では裁判員制度導入の趣旨にのっとって検察側、弁護側の双方とも裁判員が理解しやすい言葉遣いに努めた。それぞれの裁判員席にモニターが置かれ、傍聴席から見えるよう、必要に応じて左右の大きなモニターにも投影された。

  冒頭陳述で検察側は事件概要、家族関係、殺害の経緯について説明。「裁判官、裁判員はお手元のモニターを見てほしい。赤い部分は事実関係を理解するうえでのポイントになる」と述べ、視覚的に整理して説明した。

  被告人の量刑を決めるべき重要事項として@結果の重大さA10回以上刺し、60カ所の傷がある殺害方法B確実な殺意の存在C夫婦関係が修復できないとあきらめ、憎む気持ちがあった自己中心性D知人男性との親密な関係は知らなかったE遺族の悲しみF後悔と反省して自首したのではない|などの主張を個条的に挙げた。

  これに対して弁護側は被告人と被害者の夫婦関係、親子関係について時系列的に説明し、家族関係が崩壊に向かう過程を心理的に解き明かしていった。事件に至るまでの夫婦間のいさかいで、被告人が追いつめられたことを強調。「110番通報したので自首が成立する。被害者を殺害したことを後悔し、被害者、子ども、親、親族たちに申し訳なく思っている」と悔恨の情を認めた。被害者が知人の男性と交際していたことを指摘し、「裁判官、裁判員は不倫が夫婦関係にどのような影響を与えたか注目してほしい」などと述べた。

  公判ではモニターを使って被害者の傷を個所ごとに示したり、凶器の刺身包丁の実物をケースに入れて裁判員一人ひとりに検分させるなど、難解な法律用語の論戦を退ける工夫が見られた。裁判員たちは真剣なまなざしでモニターに見入っていたが、実物の凶器を目の当たりにして、沈痛な表情を見せる人もいた。

  被告人の三男の供述調書読み上げにあたって検察側は「調書の形だが、三男がこの法廷で読み上げたのと同じ意味を持つ。一人称の僕で話す」と述べ、当事者の心情を伝えた。

  27日は午前10時に開廷し、証拠書類の取り調べと証人尋問が行われる。


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